退職前に確認したい雇用保険|知らないと損する失業手当の金額と受給資格を解説

失業保険イメージ

会社を退職して、最初に気になるのが雇用保険(失業保険)です。

人生で3度は転職する時代になりました。

失業手当は、勤務していた期間や、退職理由により支給される金額が決められています。

誤解が多いのですが、失業保険は誰でも貰えるわけではありません

この記事は、私が早期退職してハローワークで失業手当を貰うまでの体験談を元に、受給資格と支給される金額について解説したものです。

この記事を読むことで、安心して転職や退職の準備を進めることができます。

この記事のお勧め
  • 退職して失業手当を貰いたい方
  • 失業手当の金額を知りたい方
  • お得な受給方法を知りたい方
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雇用保険

雇用保険(失業保険とは、労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方に対して、失業給付金が支給されるものです。

保険金は、労働者:事業主=1:2の負担割合で、給料天引きされています。

基本手当

基本手当

基本手当とは、雇用保険の被保険者が、退職や倒産により離職し、失業中の生活を心配せずに新しい仕事を探す事がで出来るよう支給されるものです。

退職後に、雇用されて働く意思の無い方には支給されません

起業や、完全なリタイアを目的とする方にも支給されません。

基本手当の日数

基本手当を受けることのできる日数を、所定給付日数といいます。

年齢、雇用保険の被保険者であった期間、退職の離職理由が「自己都合」か「会社都合」により、90日~360日の間で決められます。

特に倒産・解雇等により再就職準備の時間的余裕がなく離職された方には、一般の離職者に比べ手厚い給付日数になっています。

基本手当の概要図

会社都合で退職すると、最大330日貰えます。

退職前に会社規定を確認しましょう。

基本手当の日額

離職時の年齢に応じて賃金日額の上限額・給付率が定められています。

また、基本手当日額には上限があります。

  • 60歳未満賃金日額の5~8割
  • 60~65歳未満賃金日額の4.5~8割
賃金日額の概要図

基本手当の期間

受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。

その間に病気、怪我、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働く事が出来なくなった場合は、その働く事の出来なくなった日数だけ受給期間を延長することが出来ます。

但し、延長できる期間は最長で3年間です。

1年間貰える訳ではありません

手続遅延や、失業認定日にハローワークへ行かなかった場合など、受給期間の1年間を経過すると基本手当を受給することができません。

会社から離職票を受けたら、

すぐハローワークへ行きましょう。

基本手当の支給開始日

離職票を提出した日から起算して、失業している日から7日を経過した翌日から、基本手当の支給対象期間開始となります。

尚、自己都合で離職された場合は、待機満了後さらに2ヶ月経過した翌日から、基本手当の対象期間となります。

自分が受給できる期間を計算してみましょう!

支給要件

失業保険を貰うために、ハローワークで求職の申請をします。

誤解されがちですが、失業給付の申請ではなく、求職の申請をします。

受給資格が決定すると、決定日から起算して7日間を待期期間とし、翌日から基本手当の支給対象期間が始まります

失業認定
  • 初日
    求職申込 ハローワークで受給資格審査
  • 待期7日間
    ハローワークで説明会
  • 支給対象期間
    失業認定 4週間に1回、本人が指定日にハローワークへ行く
  • 支給対象期間
    失業認定 同上
  • 支給対象期間
    失業認定 同上

支給要件は、下記①②の何れにも当てはまる場合です。

支給要件①

ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない「失業の状態」にあること。

支給要件②

離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。 但し、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可能です。

受給資格

受給資格の有る方

受給資格

「就職しようとする意志と、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず職業に就けず、積極的に求職活動を行っている方」と定義れています。

受給資格の無い方

次の状態にある場合は、基本手当を受ける事が出来ません。

受給資格の無い方
  • 積極的な求職活動を行っていない方
  • 病気怪我で、すぐに就職できない方
  • 妊娠・出産・育児で、すぐに就職できない方
  • 定年などで退職して、しばらく休養する方
  • 結婚などにより家事に専念する方
  • 病人の看護で、すぐに働けない方
  • 学業に専念する方
  • 就職が内定し、就職活動しない方 
  • 自営業(準備を含む)の方
  • 家事、家業の手伝いをする方
  • 会社、団体などの役員に就任している方

積極的に就職活動していることが条件です。

失業の認定

失業の認定を受ける方法

基本手当は、失業の状態である方に支給されます。

ハローワークで失業状態であることの確認が必要です。

失業の状態であることを確認することを失業の認定といいます。

失業の認定を受けるためには、ハローワークが指定した失業認定日・時間に、自身代理人は不可)が、失業認定申告書・受給資格者証などを窓口に提出する必要があります。

失業認定日に必ず本人が行かなければなりません。

給付を受ける方法

積極的求職活動を行っていることが必要です。

そのためには、失業認定日に認定対象期間(前回の認定日から今回の認定日前日までの期間)の求職活動実績の申告が必要です。

求職活動実績とは、就職しようとする意志を具体的かつ客観的に確認できる積極的な活動の実績です。認定対象期間中に原則2回以上の求職活動実績が必要です。

ハローワークの求職活動実績|2回の求職活動を認めて貰う簡単な方法

求職活動の範囲

主なものは下記の通りです。

求職活動実績

1.求人への応募

2.ハローワークの催事

 ・求職申込・職業相談・職業紹介

 ・各種講習・セミナーの受講

3.許可・届出のある民間機関(民間職業紹介機関、労働者派遣機関)の催事

 ・求職申込・職業相談・職業紹介

 ・求職活動方法等を指導するセミナーの受講

4.公的機関(地方自治体、求人情報提供会社、新聞社等)の催事

 ・職業相談

 ・各種講習・セミナー・個別相談ができる企業説明会の受講、参加

 ・船員希望の方は、地方運輸局・船員雇用センターが行う求職申込

5.再就職に資する各種国家試験・検定等の受験

求職活動に該当しない例

1.ハローワーク、新聞広告、インターネット等で単なる求人情報の閲覧

2.知人への単なる紹介依頼

3.インターネット等の民間職業紹介事業者への単なる登録

失業認定申告書の写真
失業認定申告書

再就職した場合

就職(試験期間、派遣、アルバイト、パートを含む1週間の所定労働時間が20時間以上のお仕事)が決まったときは、ハローワークに速やかな申告が必要です。

実働収入を得ながら失業保険を貰うことは、ルール違反でペナルティが発生します。

再就職すると申告が必要です。

受給期間中の再就職は別途手当が貰えます。

再就職手当

再就職手当の額

  • 3分の2以上を残して再就職した場合→支給残日数の70%
  • 3分の1以上を残して再就職した場合→支給残日数の60%

支給要件

次の全てに該当することが必要です。

1.待期期間が終わっていること。

2.給付制限がある方は、待期満了後1か月間はハローワーク等の紹介で就職されたこと。

3.原則として雇用保険の被保険者となっていること。

4.1年を超えて勤務することが確実であると認められる職業に就いたこと。

5.離職前の事業主に雇用されたものではないこと。

6.ハローワークへ行く前に雇用が内定していたものでないこと。

7.再就職の前3年以内に、再就職手当・常用就職支度手当を受けたことがないこと。

就職促進定着手当

早期に再就職して再就職手当の支給を受けた方が、引き続きその再就職先に、原則雇用保険の被保険者として6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分あたりの額が雇用保険の給付を受ける直前の賃金日額に比べて低下している場合で、支給要件を満たしている場合に支給されます。

就業促進定着手当の額

支給額=(雇用保険の給付を受ける直前の賃金日額)-(再就職先で6ヶ月の間に支払われた賃金の1日分当たりの額)× 再就職の日から6か月間以内における賃金の支払いの基礎となった日数。

支給要件

次の全てに該当することが必要です。

1.再就職手当の支給を受けていること。

2.再就職の日から、同じ事業主に6か月以上雇用されていること。

3.再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分が、離職前の賃金日額を下回ること。

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就業手当

支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上であり、再就職手当の支給対象とならない常用雇用以外の形態で就業した場合で、支給要件を満たしている場合に支給されます。

就業手当の額

  • 基本手当日額の30%

支給要件

次の全てに該当することが必要です。

1.再就職手当の支給対象とならない職業に就いたこと。

2.待期期間が終わっていること。

3.給付制限がある方は、待期満了後1か月間は、ハローワーク等の紹介で働いたものであること。

4.離職前の事業主に雇用されたものではないこと。

5.ハローワークへ行く前に、雇用が内定していた事業所で働いたものでないこと。

不正受給

働いたことを申告しなかったり、偽った申告をするなど、不正な行為により基本手当を受けようとした場合は、全て不正受給になります。

不正受給すると給付金の権利を失い、3倍返しとなります。

特に悪質な場合は、刑事事件として詐欺罪で告発されます。

以下の行為は不正受給となります。

  • 就職や就労をしたことを申告しなかった場合。
  • 就職日や求職活動の実績を偽って申告した場合。
  • 内職や手伝いをしたこと、またはその収入があったことを申告しなかった場合。
  • 自営を始めたこと、またはその準備をしたことを申告しなかった場合。
  • 会社の役員や非常勤嘱託、顧問などに就任したことを申告しなかった場合。
  • 健康保険による傷病手当金や労災保険による休業補償給付の支給を受けた場合。
  • 就職ができる状態でなくなったことを申告しなかった場合。
  • 本人であるかのように偽って、他人に失業の認定を受けさせた場合。
  • 証明書などを偽造したり、不正に発行を受けて提出した場合。
  • 離職理由を偽り、基本手当等を受けた場合。

不正受給3倍返しです!

まとめ

失業手当を貰う方法について解説しました。

受給資格は厳格に定められており、年齢や離職理由で受給金額は大きく変わります。

退職前に会社規定を確認し、できる限り「会社都合」で辞めることが得策です。

また、不正受給をした場合は、厳しい罰則が待っています。

自分だけは大丈夫だろう思っていても、関係省庁の連携や通報により悪事は露呈します。

一方で、失業保険を貰うことは権利です。

ルールを守って権利を行使しましょう。

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