早期退職を考えている会社員の方は多いと思います。退職金をどのようにして受け取れるのか、疑問に思っている人も多いでしょう。
例えば、確定給付年金も退職一時金として、一括で受け取れることをご存じでしょうか?
私は54歳で早期退職しました。この記事は、私が退職金を具体的に受け取った方法の記録です。これから退職される方の参考になれば幸いです。
- 退職を考えている人
- 退職金の種類を知らない人
- お得に退職金をもらいたい人
退職金の種類
退職金には3種類あります。
①退職一時金
②確定給付企業年金(DB)
③確定拠出企業年金(DC)
退職一時金
1つ目の退職金は、退職一時金。
退職一時金として一括で受け取る
退職一時金は、退職清算時に一括で支払われます。
会社が源泉徴収する場合、確定申告は不要。退職金所得控除額を超える金額は、課税されますので要注意です。
退職金所得控除
退職職所得控除額の上限を超えると、所得税と復興特別所得税が源泉徴収されます。
退職所得控除額の計算方法は以下の通り。
勤続年数(A) | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円 × A (80万円に満たない場合には80万円) |
20年超~ | 800万円 + 70万円 × (A – 20年) |
【例1】勤続年数が10年2か月。
勤続年数は11年になります(端数切り上げ)
40万×(勤続年数)
=40万×11年=440万円
【例2】勤続年数が30年。
800万+70万×(勤続年数-20年)
=800万+70万×10年=1,500万円
※同一年に2ケ所以上から退職金を受け取る場合は計算が異なります。
私は、一括で退職一時金を受け取りました。
確定給付企業年金(DB)
2つ目の退職金は確定給付企業年金(DB)
確定給付企業年金(DB)は、企業が掛金を拠出し、将来受け取れる金額が保証されている年金です。
DB(Defined Benefit plan)と呼ばれるのは、予め受給額(Benefit)が確定している(Defined)からです。
退職一時金として一括で受け取る
退職時に退職一時金として一括で受け取ることが可能。
退職一時金と合算することができ、退職所得控除額の上限以内であれば、非課税扱いとなります。
年金として受け取る
60歳から年金として受け取り可能。
退職一時金と年金に分割して受け取る
退職一時金として退職所得控除額の上限を目安に受け取り、残りを年金として受け取ります。
私は、退職所得控除額の範囲であったため、DBも全額一括で受け取りました。
確定拠出企業年金(DC)
3つ目の退職金は確定拠出企業年金(DC)
確定拠出企業年金(DC)は、企業が拠出する年金を加入者自身が運用し、そのリスク・責任を負います。
退職一時金として一括で受け取る
60歳から退職一時金として、一括で受け取ることが可能。
退職一時金と合算出来ますので、退職所得控除額の範囲内であれば非課税扱いとなります。
年金として受け取る
60歳から受け取り可能、75歳までに受け取りを開始する必要があります。
60歳未満で退職する場合は、確定拠出企業年金(DC)の移管手続きが必要です。移管先は下記の通り。
- 転職先の確定拠出企業年金(DC)に移管。
- 公務員は確定拠出個人年金(iDeco)に移管。
- フリーランスの場合は確定拠出個人年金(iDeco)に移管。
※退職から6か月を経過すると国民年金基金連合会に自動移管されてしまいます。 運用ができないうえ、毎月の管理手数料が資産から差し引かれますので注意しましょう。
退職一時金と年金に分割して受け取る
退職一時金として退職所得控除額上限を目安に受け取り、残りを年金として受け取ります。
私は、60歳になると一括で受け取り、自ら資産運用する予定です。
確定給付企業年金(DB)と確定拠出企業年金(DC)の比較
公的年金の階層
公的年金は、3層に分類されます。確定給付企業年金(DB)、確定拠出企業年金(DC)は、いずれも第三階層にあたります。
- 第三階層:確定給付企業年金(DB)・確定拠出企業年金(DC)
- 第二階層:厚生年金(会社員)・共済年金(公務員)
- 第一階層:国民年金
DBとDCの相違点
確定給付企業年金(DB)と確定拠出企業年金(DC)の相違点は以下の通り。
DBは60歳未満で一時金として受け取れますが、DCは60歳以降でないと受け取れません。
早期退職者のデメリット
60歳未満で早期退職する場合。
退職一時金・確定給付年金(DB)・確定拠出年金(DC)を同時に受け取れません。
早期退職者の最大のデメリットは、退職所得控除額の上限を最大限活用できず、一部は課税扱いになってしまうこと。
年金は、所得税法上の雑所得として課税対象になります。公的年金及び企業年金には「公的年金等控除」が適用されるのですが、控除の恩恵はわずかなものです。
DCは60歳未満では受け取れません。年金受給時に課税される覚悟が必要です。
あとがき
確定拠出年金(DC)のメリットは、掛け金が所得控除されることです。一方、年金として受け取る際に、所得税を徴収されます。
確定拠出年金(DC)は、入り口は優しいのですが、出口の難しい年金商品といえます。これから退職を検討する方の参考になれば幸いです。
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