アドラー心理学と人間関係|なぜあの人とうまくいかないのか?

人間関係のイメージ

アドラー心理学は、未来志向の心理学。

未来志向とは、戦略的思考の資質。未来志向が豊かな人は、気付けば未来のことを考えています。「未来がこうなるといいなあ」と、ポジティブなヴィジョンを描きます。

今回のテーマは、なぜあの人とうまくいかないのか?

日本人は、相手の機嫌が悪いと、自分の責任だと思う人が多いようです。

アドラー心理学では、相手が不機嫌なのは、相手の課題だと考えます。

自分にできることは、相手の課題を自分も共有できるかどうか確かめること。

▶共有できる課題であれば、一緒に問題解決する。
▶共有できない課題であれば、放っておきます。

大切なのは「自分にできることがあるかどうか?」を、相手に聞けるかどうか

パートナー、親兄弟、友人、職場で苦手な人に対し、それを聞くことができるでしょうか?

自分は、「主張的」か「非主張的」か?主張的な人は、相手に聞くことが出来ます。

この記事では、主張性の自己診断→タイプの種類→対処法の順に紹介します。

この記事のおすすめ
  • 苦手な相手がいる人
  • 自分が主張的か知りたい人
  • アドラー心理学に興味がある人

主張タイプ自己診断

貴方がどちらのタイプが診断してみましょう。

診断の手順
  • 質問に回答。

    ◎(3点)…必ずできる
    ○(2点)…時々できる
    △(1点)…めったにできない
    ×(0点)…絶対できない

  • 2
    点数を合計する。
状況×
知り合いになりたいと思っている人を、パーティーで見かけました。近付いて挨拶できますか?3210
映画の途中、後席の人が喋っていて迷惑です。話をやめるよう注意できますか?3210
周囲の意見と異なる意見を持っているとき、それを表現できますか?3210
列に割り込んできた人に、きちんと並ぶよう注意できますか?3210
A定食を頼んだのに、B定食がきました。交換を要求できますか?3210
隣人が真夜中でも騒々しくて迷惑です。隣人か管理人に、注意することができますか?3210
友人から知人のコンサートチケットの購入を頼まれました。断れますか?3210
約束があるのに、上司から緊急の残業を命令されました。うまく対処できますか?3210
あまり付き合いたくない人から、メールアドレスを聞かれました。教えずに済ませることができますか?3210
連続ドラマを見ている最中、長話になる友人の電話に出てしまいました。後でかけてもらうか、かけ直すと言えますか?3210

20点以上主張的
▶13~19点…普通
▶12点以下…非主張的

主張性には4種類ある

主張性は、さらに4種類に分類されます。

自分の行動で相手を傷つけるか否か

相手を傷つけるか否かの基準は、相手が許容するかどうか。

自分ではOKだろうと思っていても、相手がNOであれば傷つけたことになります。

相手/自分自分は要求する自分は我慢する
相手を傷つけない主張的行動非主張的行動
相手を傷つける攻撃的行動復習的行動

主張的行動…相手を傷つけず、自分の要求を主張する。
非主張的行動…相手を傷つけず、自分の要求を我慢する。
攻撃的行動…相手を傷つけてでも、自分の要求を通す。
復習的行動…相手を傷つけ、しかも自分の要求も諦める。

主張的になる方法

非主張的な人が、主張的になる方法です。

主張的になる方法
  • 非主張的である自分に、NOを言う。
  • 自分の要求を通し、相手の要求を断る訓練をする。
  • 「嫌われるかもしれない」「迷惑をかけるかもしれない」という考えと決別する。
  • 相手の要求を断っても、相手のダメージは想像ほどではないかもしれない。
  • 職場や友人関係で「便利な人間」より、責任感と自立心のある人間になる。
  • 貴方が主人公であるはずの人生を、他者に追随して生きる必要はない。

◆診断②④…映画館で後席の人が騒がしい人、列に並ばない人、周囲も迷惑しています。注意すると、相手から嫌われるかもしれませんが、周囲の人からは好意を持たれます

◆診断⑧⑩…上司から仕事を頼まれたり、友人から電話がかかってきた場合、断るタイミングがポイント。すぐに断ることです。相手の話をじっくり聞いてしまうと、断るタイミングを逃します。上司は貴方のことを便利な部下としか思っていない可能性があります。本当に必要なら、いつまでに必要か確認し、明日早く出勤して仕事を済ませることもできます。

前回の自己診断で、❷赤ん坊タイプ(ベイビー)は、非主張的な人が多く見受けられます。

「他者から好かれたい、嫌われたくない」という思いを持っているため、他者にNOと言えません。周囲の評価で自分の価値を決めがちで、意中の人が不機嫌だと「自分に問題があるのか」と思い、機嫌がよいと「良かった」と喜ぶ傾向があります。

相手の課題を分離する

次に、相手の課題を分離することを考えます。

自分に主張性が備わり、相手が不機嫌なとき、その理由を聞くことができたとします。

その不機嫌な理由は、2種類に分類されます。

①相手の課題

アドラー心理学では、「不機嫌は、他者を自分に近づけたくないという目的があるとき」と考えます。相手の課題なら、そっとしておくこと。こちらも、自分に責任がないことで安心できます。

共有できる課題

相手の弊害(問題解決能力を奪う、依存的になる等)を避け、課題を共有できないか考えます。「何か手伝えることがないか?」問うことで、課題を共有できます。

次の場合も、課題を共有することが可能です。
▶相手から、相談や依頼があった場合。
▶こちらが、相手から迷惑を受けた場合。

なぜあの人とうまくいかないのか?

思いやりのイメージ

自分に主張性が備わり、相手と課題を共有できたとします。

それでも、何故かうまく付き合うことができない人がいるもの。

パレートの法則

パレートの法則。2:6:2の法則とも呼ばれます。

パレートの法則

イタリア経済学者パレートの研究。
どのような組織・集団も、人の構成比率は、2:6:2になるというもの。

2割…優秀な人
・6割…普通の人
・2割…劣等な人

他の組織から、上位2割の優秀な人ばかり集めても、やはりその中で2:6:2に分かれる。下位2割の劣等な人ばかり集めると、そこから秀でた2割の人が現れる。

お気づきかもしれませんが、対人関係にも、パレートの法則が当てはまります。

全ての人と相性が良いこともなければ、全ての人と相性が悪いこともあり得ません。

人間関係の法則

最後に、人間関係の法則です。

人間関係の法則
  • みんなに好かれた人は、歴史上に存在しない。
    みんなに嫌われた人も同様である。
  • みんなに好かれたいと思うのは、幻想にすぎない。
    みんなに嫌われていると思うのは、妄想にすぎない。
  • 貴方が気にするほど、他人は貴方に関心がない。
    みんな自分のことで精一杯である。

(出典:アドラー心理学/岩井俊憲著)

あとがき

なぜあの人とうまくいかないのか?

結局のところ、相性の悪い人は、一定の確率で存在するものなのです。

そう思うと、ずいぶんと気が楽になりませんか?

自分だけが人間関係で悩んでいるわけではありません。

相性の悪い人も、また同じように悩んでいるのです。

あなたの人間関係が、良い関係になることをお祈りします。

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