
アドラー心理学は、未来志向の心理学です。
前回は、自己診断で自分のタイプを理解しました。
今回は、なぜあの人とうまくいかないのか?
日本人は、相手の機嫌が悪いと、自分の責任だと思う人が多いようです。
▶共有できる課題であれば、一緒に問題解決する。
▶共有できない課題であれば、放っておきます。
大切なのは「自分にできることがあるかどうか?」を、相手に聞けるかどうかです。
パートナー、親兄弟、友人、職場で苦手な人に対し、それを聞くことができるでしょうか?
この記事では、主張性の自己診断→タイプの種類→対処法の順に解説します。
- 苦手な相手がいる人
- 自分が主張的か知りたい人
- アドラー心理学に興味がある人
主張タイプ自己診断
貴方がどちらのタイプが診断してみましょう。
- 1次の質問に回答。
◎(3点)…必ずできる
○(2点)…時々できる
△(1点)…めったにできない
×(0点)…絶対できない - 2点数を合計する。
項 | 状況 | ◎ | 〇 | △ | × |
---|---|---|---|---|---|
1 | 知り合いになりたいと思っている人を、パーティーで見かけました。近付いて挨拶できますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
2 | 映画の途中、後席の人が喋っていて迷惑です。話をやめるよう注意できますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
3 | 周囲の意見と異なる意見を持っているとき、そのことを表現できますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
4 | 列に割り込んできた人に、きちんと並ぶように注意できますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
5 | A定食を頼んだのに、B定食がきました。交換を要求できますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
6 | 引っ越すと、隣人が真夜中でも騒々しくて迷惑です。隣人か管理人に、注意することができますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
7 | 友人から知人のコンサートチケットの購入を頼まれました。断れますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
8 | 約束があるのに、上司から緊急の残業を命令されました。うまく対処できますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
9 | あまり付き合いたくない人から、メールアドレスを聞かれました。教えず済ませられますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
10 | 連続ドラマを見ている最中、長話になる友人からの電話に出てしまいました。後でかけてもらうか、かけ直すと言えますか? | 3 | 2 | 1 | 0 |
主張的か非主張的か
合計点数に応じて主張的か、非主張的か判別します。
▶20点以上…主張的 ▶13~19点…普通 ▶12点以下…非主張的
主張性の種類
自分の行動で相手を傷つけるか否かで、さらに4種類に分類されます。
相手を傷つけるか否かの基準は、相手が許容するかどうか。
自分では相手がOKだろうと思っていても、相手がNOであれば傷つけたことになります。
相手/自分 | 自分は要求する | 自分は我慢する |
---|---|---|
相手を傷つけない | ①主張的行動 | ②非主張的行動 |
相手を傷つける | ③攻撃的行動 | ④復習的行動 |
- ①主張的行動…相手を傷つけないで、自分の要求を聞き入れてもらおうとする。
- ②非主張的行動…相手を傷つけないために、自分の要求を我慢する。
- ③攻撃的行動…相手を傷つけてでも、自分の要求を通そうとする。
- ④復習的行動…相手を傷つけ、しかも自分の要求も諦める。
さて、貴方はいつもどのような行動を取っているでしょうか?
主張的になる対処法
非主張的な人が、主張的になる対処法です。
前回の自己診断、❷赤ん坊タイプ(ベイビー)の人に、非主張的な人が多く見受けられます。
「他者から好かれたい、嫌われたくない」という思いを持っているため、他者に対してNOと言えません。
周囲の評価で自分の価値を決めがちで、意中の人が不機嫌だと「自分に問題があるのか」と思い、機嫌がいいと「良かった」と喜ぶ傾向があります。
- 非主張的である自分に、NOを言う。
- 自分の要求を通したり、相手の要求を断る訓練をする。
- 「嫌われるかもしれない」「迷惑をかけるかもしれない」という考えと決別する。
◆診断②④…映画で後席の人が騒がしかったり、列に並ばない人には、周囲も迷惑しています。注意をすると、相手から嫌われるかもしれませんが、周囲の人からは好意を持たれます。
◆診断⑧⑩…上司から仕事を頼まれたり、友人から電話がかかってきた場合は、断るタイミングがポイントです。すぐに断ることです。相手の話をじっくり聞いてしまうと、断るタイミングを逃します。上司は貴方のことを便利な部下としか思っていない可能性があります。本当に必要なら、いつまでに必要か確認し、明日早く出勤して仕事を済ませることもできます。
課題の分離
次に、相手の課題を分離することを考えます。
自分に主張性が備わり、相手が不機嫌なとき、その理由を聞くことができたとします。
その不機嫌な理由は、2種類に分かれます。
①相手の課題
②共有できる課題
①相手の課題
アドラー心理学おいて、「不機嫌は他者を自分に近づけたくないという目的があるとき」と考えます。
相手の課題であれば、そっとしておくこと。
こちらも、自分に責任がないことで安心できます。
②共有できる課題
相手の問題解決になる弊害(問題解決能力を奪う、依存的になるなど)を避け、協力関係を築けた間柄なら、課題を共有できないか考えます。
「何か手伝えることがないか?」問うことで、課題を共有することが可能。
また、次の場合も、お互いに課題を共有することができます。
- 相手から、相談や依頼があった場合。
- こちらが、相手から迷惑を受けた場合。
なぜあの人とうまくいかないのか?

自分の主張性を知り、対処法を実践し、相手と課題を共有できたとします。
それでも、何故かうまく付き合うことができない人がいるものです。
パレートの法則
有名なパレートの法則。
2:6:2の法則とも呼ばれます。
パレートの法則は、イタリアの経済学者パレートの研究。
どのような組織・集団も、人の構成比率は、2:6:2になるというもの。
・2割…優秀な人
・6割…普通の人
・2割…劣等な人
上位の優秀な人ばかり10人集めても、やはりその中で2:6:2に分かれる。
下位の劣等な人を10人集めると、そこから秀でた2割の人が現れる。
対人関係にも、パレートの法則が当てはまります。
全ての人と相性が良いこともなければ、全ての人と相性が悪いこともあり得ません。
人間関係の法則
- みんなに好かれた人は、歴史上に存在しない。
みんなに嫌われた人も同様である。 - みんなに好かれたいと思うのは、幻想にすぎない。
みんなに嫌われていると思うのは、妄想にすぎない。 - 貴方が気にするほど、他人は貴方に関心がない。
みんな自分のことで精一杯である。
(出典:アドラー心理学/岩井俊憲著)
あとがき
なぜあの人とうまくいかないのか。
結局のところ、自分と相性の悪い人は、一定の確率で存在するものなのです。
ずいぶんと気が楽になりませんでしたか?
自分だけが人間関係で悩んでいるわけではありません。
相性の悪い人も、また同じように悩んでいるのです。
貴方の人間関係に、良い結果がもたらしますように。
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