屋久島縄文杉トレッキングとハートのウィルソン株~世界自然遺産を解説

ウィルソン株のハート

樹齢2000年以上の巨大な杉が生育する屋久島やくしま

1993年に日本最初の世界自然遺産として登録されました。

亜熱帯から亜寒帯までの植生が分布する神秘的な島。

今回、巨木の森を往復22km歩く縄文杉トレッキングに挑戦しました。

縄文杉ハートのウィルソン株に会えるのが楽しみです。

最後に、世界自然遺産に登録された屋久島の特色を解説します。

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縄文杉トレッキング

縄文杉トレッキングは、荒川登山口から縄文杉を往復する登山。標高差700m(600m~1300m)、約22Kmの長距離を、約10時間かけて往復します。

縄文杉トレッキングは、屋久島で人気のアクティビティで、島のシンボルとも言える「縄文杉」を目指すトレイルです。縄文杉の推定樹齢は、4,000年とも7,200年とも言われ、その壮大な姿と圧倒的な存在感から、多くのトレッカーが訪れる観光地になっています。

トレッキングコース概要

縄文杉トレッキングは、荒川登山口からスタートし、往復で約10時間を要する長距離ハイキングです。道中は整備されているものの、急勾配や岩場、湿気の多い森を歩くため、体力と登山の準備が必要です。

トレッキングの難易度と準備

縄文杉トレッキングは難易度が高く、往復22kmにおよぶ長距離と高低差があるため、ある程度の体力が必要です。また、雨が多い屋久島では、突然の雨に見舞われることが多く、雨具、登山靴、食料、水分補給用の飲み物、行動食などを持参して万全の準備をすることが大切です。

実際に歩いたタイムスケジュール
  • 6:00
    荒川登山口
  • 7:00
    小杉谷小中学校跡地
  • 8:15
    三代杉
  • 9:15
    トイレ休憩
  • 10:00
    ウィルソン株
  • 11:15
    大王杉
  • 11:45
    縄文杉
  • 16:30
    荒川登山口

実際に歩いた主なポイント

1. 荒川登山口

トレッキングのスタート地点。アクセスは、専用のシャトルバスで行くのが一般的です。

2. トロッコ道

トロッコ道

荒川登山口から縄文杉までの約8キロの道のりは、トロッコの線路を歩きます。一本道でフラットな部分が多いのですが、線路の枕木を踏みながら進むため、わだちに足を取られて非常に歩きにくいものです。

3. 大株歩道

ウィルソン株の案内標識

トロッコ道が終わると、大株歩道に入ります。ここからは険しい山道で、石段や木の根が多く、登りや下りが続く本格的な登山になります。

4. ウィルソン株

ウィルソン株の順番待ち

大きな切り株で、内部に空洞があるため、内部から空を見上げるとハート型に見えるポイントです。ここは写真撮影の名所になっているため、中に入るのに順番待ちです。

ウィルソン株から見上げる妻

周囲13.8mの巨大な切り株は、中が10畳ほどの空洞になっています。株の中に入り、空を見上げると、ハート形に見えるポイントがあります。

ウィルソン株の中から空を見上げる

見上げる角度を間違えると、ハートに見えませんが…

ウィルソン株から見えるハート

綺麗なハートに見えました!

5. 大王杉

大王杉

さらに登山道を進むと、大王杉だいおうすぎが見えてきます。1966年に縄文杉が発見されるまでは、大王杉が最大の屋久杉とされていました。屋久杉のシンボルとして君臨してきた大王杉。間近で見上げると、威風堂々いふうどうどうとした雄姿に圧倒されます。

6. 縄文杉

縄文杉

最終目的地である縄文杉は、圧倒的な存在感を放つ巨木。高さ25.3メートル、幹回り16.4メートル、直径5.1m。1966年に町役場職員により発見されました。名前の由来は、推定樹齢4000年以上で縄文時代から生きているからという説と、奔放ほんぽうにうねる幹の造形が縄文土器に似ているからという説があります。屋久島の歴史を見守ってきたこの杉は、訪れる者を魅了します。

野生の動物

片道11Kmを、歩いてきて良かったと思える瞬間です。ゴール地点で、屋久島の固有種ヤクシカが出迎えてくれました。ヤクシカは、本州に生息するニホンジカに比べて小さいのが特徴です。

世界遺産屋久島の特色

1993年に屋久島が世界自然遺産に登録されました。

屋久島は1993年にユネスコの世界自然遺産に登録され、日本国内で最初の世界自然遺産のひとつとして知られています。

世界遺産登録の背景と理由

屋久島が世界遺産に登録されたのは、その独特な生態系と原生林の豊かな自然が評価されたためです。屋久島の特徴として、以下の点が挙げられます。

1. 豊かな植物の多様性

屋久島は亜熱帯から亜寒帯にわたる多様な気候帯が混在しており、そのために高度差によって植物が多様な形態で生息しています。海岸部には亜熱帯性の植物が、標高の高い山岳部には冷温帯性の植物が広がるという、非常に珍しい生態系が成立しています。

2. 縄文杉をはじめとする屋久杉の巨木群

屋久島は「屋久杉」と呼ばれる巨大な杉の木が自生する地域として有名です。特に縄文杉は推定樹齢が2,000年以上、他にも推定樹齢数千年に達する屋久杉が多く存在し、これらの古木が屋久島の自然の神秘性を象徴しています。

3. 降雨量の多さと独特の気候

「1ヶ月に35日雨が降る」とも表現されるほど雨が多い屋久島は、豊富な降水量によって森が潤い、苔が繁茂した神秘的な森林景観を形成しています。島の独特の湿潤な気候は、さまざまな植物や動物の生態系を支え、屋久島の自然美を保つ上で重要です。

4. 独自の動物相

屋久島にはヤクシカやヤクザルといった、屋久島固有の動物が生息しています。これらの動物は、独特の環境に適応しながら繁栄してきたことで、生態学的にも興味深い対象とされています。

世界遺産登録地域

屋久島全体が世界遺産に登録されているわけではなく、島の約21%(約107.47平方km)が対象区域です。この地域には縄文杉をはじめとする屋久杉の巨木群や自然林、固有種の生息地が含まれています。一般的に「奥岳エリア」とも呼ばれ、厳密な自然保護が求められる地域です。

九州の最高峰

屋久島に位置する宮之浦岳(1936m)は、九州地方で最高峰の山です。

水の島

1ヶ月のうち35日雨が降るといわれる屋久島は、別名「水の島」。世界有数のアカウミガメとアオウミガメの産卵地でもあり、神秘的な景観を形成しています。

あとがき

登山口で記念写真

登山道は整備されており、特に危険な場所はありません。

しかし、妻は転倒し、痛いと言いながら登山をしました。後日、病院で診断すると、肋骨ろっこつにヒビが入っていたようです。よく最後まで歩いたと感心します。

長い長いトロッコ道は歩きにくいので、トレッキングシューズが必須です。約10時間足らずの登山でしたが、大満足のトレッキングになりました。

屋久島は、世界でも珍しい多様な自然環境と豊かな生態系を持つ神秘的な島。また来てみたいと思わせる素敵な島でした。