50年の住宅ローン。
フラット50は、返済期間を最大50年とすることができます。
最初に警告します。
フラット50を勧める不動産仲介業者は、貴方をカモとしか見ていません。
更に続々と、50年ローンを販売する地方銀行がでてきました。
この記事では、無謀な50年ローンについて考え、マイホームは資産ではなく負債であることを解説します。
・これから資産形成を考える人
・マイホームが資産だと思っている人
・フラット50の罠を知りたい人
フラット50
耐久性の高い住宅が普及したことを背景に、50年住宅ローン「フラット50」が生まれました。
審査基準は、年齢が44歳以下など、住宅金融支援機構の基準を満たす必要があります。
実際に「フラット35」の返済金額と比べてみましょう。
借入5000万円 | フラット35年 | フラット50年 |
---|---|---|
金利(固定) | 1.53% | 2.20% |
返済額(月) | 153,828円 | 137,473円 |
総支払額 | 64,607,516円 | 82,484,158円 |
利息 | 14,607,516円 | 32,484,158円 |
まず、「フラットの50」の金利が高いことが分かります。これは、総支払額に大きな差が生まれます。
・総支払額の差額:+1,788万円
毎月の返済額は軽減されますが、利息だけでもう1軒購入できそうです。
50年の歳月
50年の歳月で、一体何が起きるか想像できるでしょうか。今から50年前の出来事を、思い出せるでしょうか。以下は、ちょうど50年前、1972年のできごとです。
・01/24 グアム島密林で元日本兵・横井庄一発見。
・02/03 第11回冬季オリンピック、札幌で開幕。
・02/19 浅間山荘事件。連合赤軍の5人が龍城、警官2人死亡。
・05/13 大阪・千日デパートビル火災。118人死亡。
・05/15 沖縄返還。沖縄県発足。
・06/11 田中角栄通産相が「日本列島改造論」を発表。
・06/14 日航機、インド・ニューデリーで墜落、84人死亡。
・06/16 ピル解禁求める「中ピ連」結成。
・07/03~13 ”ゲリラ梅雨”で全国に豪雨。死者・不明436人。
・07/07 第一次 田中角栄内閣成立。
・07/21 刑事ドラマ『太陽にほえろ!』放送開始。
・08/16 森永乳業、枇素ミルク中毒事件の責任を認める。
・09/29 日中両国首相共同声明に調印、国交樹立。
・10/00 ツクダオリジナルから「オセロ」発売、200万個販売。
・11/28 日航機、モスクワで墜落、61人死亡。
・12/21 ドラマ『ありがとう』史上最高56.3%の視聴率。
・パンダブーム、競馬ブーム、仮面ライダーブーム
・オリコン1位:女のみち(宮史郎とぴんからトリオ)138万枚
50年後は、自分も世の中も大きく変わっていることでしょう。家族構成、病気、ケガ、事故、災害、金銭トラブル…予算に入れていない支出は意外に多いものです。
不確実な人生において、50年の負債を背負うことは論外です。
それでも、50年ローンが無事に完済したとしましょう。あなたの年齢はいくつですか?
80歳? 90歳?
マイホームは、新築時に比べてどうなっているでしょうか。50年の歳月で、2回の外壁塗装と、設備のリフォームで500万円は必要になっているでしょう。
現金一括で買えないものは身分不相応
①お金の真理
資産70億円で「お金の真理」の著者:与沢翼氏はこう語っています。
著者は、富を拡大させていく中で、本当に儲けているのは誰なのか考えるようになります。自分が睡眠時間を削って働いている間、自宅で寛いでいる不動産オーナーにお金が入る。
不動産オーナーが圧倒的少数であるのに対し、世の中の大多数が賃借人であることに気付き、家賃は家を所有する側に富を移転していく仕組みに違いないと悟ります。その結果、世界各国に45億円分の不動産と、20億円分の株券や社債を保有するに至りました。
②金持ち父さん
「金持ち父さん貧乏父さん」の著者:ロバート・キヨサキ氏は、こう語っています。
ロバート・キヨサキ氏は、マイホームは資産ではなく、負債だと断言しています。
マイホームを購入すると、住宅ローンや固定資産税を支払い続けます。経年劣化すると、リフォームにお金が必要でしょう。ましてや、住宅ローンや固定資産税を支払うことができなかったら?国や金融機関に差し押さえられ、所有権は剥奪されます。これで本当に資産と言えるでしょうか?
マイホームが資産だと思うのは幻想にすぎません。不動産は、お金を生んでこそ資産と言えるのです。
③バフェットの愚行
世界一の投資家ウォーレン・バフェット氏は、1958年に購入した自宅を指して「バフェットの愚行」と呼んでいます。世界の大富豪をもってしても、自宅の購入は後悔のひとつになっています。
不動産仲介業者の役割
あなたがカモにならないように、不動産仲介業者の役割を説明しておきます。
それは、売主と買主の両者を結び付けて売買を行なうこと。
私は、年に1~2軒の家を購入し、賃貸にすることで生計を立てています。内覧を含めると、数多くの不動産仲介業者と関わります。不動産仲介業者は、家を選んでいる間は、親身になって相談に乗ってくれます。気になる物件の内覧に連れて行ってくれたり、類似物件を紹介してくれたり。そして、売買成立後に売主と買主から仲介手数料を徴収し、役割も終了します。
売買を成立させることができないと、手数料は一切発生しません。よって、売買を成立させるため、あらゆる手段を尽くすわけです。現在のサラリーで返済できる金融機関を見つけるのも、彼らの仕事なのです。「フラット50」をすすめられたら、カモにされていると悟ってください。
家族構成や将来のライフスタイルに耳を傾ける営業マンも稀有な存在です。紹介されるがまま高金利の住宅ローンを組むのではなく、自分自身でネット銀行など低金利商品を比較検討しましょう。
住宅ローンの理想期間
最後に、私の考える住宅ローン返済の理想期間です。
それは、住宅ローン減税期間に等しいこと。
理想の返済期間=住宅ローン減税期間
現在の減税期間は13年。住宅ローン減税期間中は、住宅ローン残高(もしくは住宅価格)の 0.7%が所得税・住民税から控除されます。会社員の数少ない節税対策になります。政府の減税策は、毎年見直されますので都度確認しましょう。
あとがき
マイホームが負債であることを解説しました。
私のような古い戸建てを好む零細大家ですら、築50年を超える物件は購入しません。
負債の住宅を、50年の高金利ローンで手に入れることは、無謀以外の何者でもありません。
不動産仲介業者や金融機関のカモにならないよう注意しましょう。