
中高年の会社員は、これまでの人生を振り返り、目が覚めたように人生観が変わる瞬間がおとずれるものです。
例えば・・・
親の死に目に遭遇し、否が応でも自分の残された時間を考えてしまう。
役職定年をむかえ、糸が切れたように拠り所を見失ってしまう。
子どもが巣立ち、持て余す夫婦だけの時間に戸惑ってしまう。
このように、50代になると人生経験が豊富になり、これまで考えなかった(考えることを先送りしてきた)局面に遭遇し、人生観や価値観が変わる瞬間がやってきます。
この記事では、中高年の人生観が大きく変わる具体的な瞬間をまとめました。
人生観の変わる瞬間
親の介護や死を経験したとき
親が高齢になると、介護が必要になったり、病気や老衰で亡くなります。夫婦の両親が存命の場合は、4人の両親の死に目に遭遇することになります。
変化する人生観
• 「人生には限りがある」と実感し、やりたいことに挑戦する。
• 健康の大切さを痛感し、健康管理に気を遣うようになる。
• 自分の寿命を考え、自分の老後をイメージするようになる。
具体的な声「母親が亡くなったとき、親孝行が足りなかったと後悔した。それ以来、家族との時間を大切にするようになった。」
会社で立場が変わったとき
中高年の会社員は、役職定年を迎え、早期退職制度の対象者になります。年下の上司に仕え、若手社員に自分の仕事を任せることが増えるでしょう。同時に、転職や独立を考えるものです。
変化する人生観
• 早期退職の対象になり、自分にスキルがないことに気づく。
• 会社の肩書が無くなり、何者でもない自分に気づく。
• 仕事だけではなく、家族や趣味に時間を使おうと思う。
具体的な声「管理職を外れたとき、会社にしがみついても意味がないと悟った。副業を始め、自分の好きなことに挑戦してみることにした。」
子どもが独立・結婚したとき
50代になると、子どもが巣立ち、社会人になって家を出たり、結婚して独り立ちする局面に立ち会います。今まで一緒に暮らしてきた家族が減ることで、寂しさや喪失感が募ります。
変化する人生観
• 「親としての役目は終わった」と感じ、自分の時間を意識する。
• 「夫婦二人の生活をどう楽しむか」を考え始める。
• 親離れする子供を見送り、自分も子離れしようと考える。
具体的な声「子どもが家を出た途端、夫婦の会話がほとんどないことに気づいた。これからは夫婦で楽しめる趣味を見つけようと話し合った。」
体力や健康の衰えを実感したとき
定期健康診断で異常が見つかり、治療や経過観察を要する部位が発見されます。また、体の痛む箇所が増え、今まで普通にできた仕事やスポーツが辛くなる場面がでてきます。
変化する人生観
• 健康が当たり前ではないことに初めて気づく。
• 「健康が何よりも大切だ」と悟り、生活習慣を見直す。
• 「無理して働かず、自分のペースで生きよう」と考える。
具体的な声「50歳のときに心筋梗塞で倒れた。健康は当たり前じゃないと気づき、食生活と日頃の運動不足を見直した。」
友人や同僚が亡くなったとき
同世代の友人や知人、同じ職場で働いていた同僚が、病気や事故で突然亡くなることがあります。あまりにも突然の死に遭遇し、人生の儚さを実感することになります。
変化する人生観
• 突然亡くなった友人や同僚の無念を考えてみる。
• 「いつかやろう」ではなく、「今やる」に考えを改める。
• 一期一会、人間関係の大切さを考える。
具体的な声「同期だった友人が突然亡くなった。その日から、『やりたいことはすぐにやる』と決めた。」
自分の生き方に疑問を感じたとき
中高年に起こる心理的・感情的な危機を、ミッドライフ・クライシスと呼びます。人生を振り返り、「このままでいいのか?」「これがやりたかった事なのか?」と考え、疑問や不安を感じるようになります。
変化する人生観
• 「これからの人生は、自分のために使おう」と考えるようになる。
• 「仕事だけが人生じゃない」ことに気づく。
• 人生でやりたかった事を思い出す。
具体的な声「会社のために働いてきたけど、『本当にこれがやりたいことなのか?』と疑問を持った。50歳を機に、趣味を本格的に始めた。」
定年が現実味を帯びてきたとき
50代を越えると定年退職が目前に迫り、漠然と考えてきた老後の生活が現実味を帯びてきます。年金や貯蓄を確認し、残された時間に焦りを感じるようになります。
変化する人生観
• 「会社に頼らずに生きる方法を考えよう」と思う。
• 無駄な付き合いや支出を見直し、ライフスタイルに変化が現れる。
• 第二の人生を意識し、生きがい探しの模索を始める。
具体的な声「先輩が定年後にやることがなくて落ち込んでいるのを見た。自分はそうなりたくないから、今のうちに生きがいを見つけようと思った。」
あとがき
50代は人生の転機となる体験が増え、価値観が大きく変わる時期です。
• 親の介護や死 → 人生は有限
• 仕事の変化 → 会社に依存しない
• 子どもの独立 → 夫婦の関係
• 健康の衰え → 生活習慣
• 友人の死 → 人生の儚さ
• 定年が近づく → 老後の生きがい
見方を変えると、手遅れになる前に、本当の自分を取り戻せるチャンスとも言えるでしょう。「今後どう生きるか」を意識して、前向きに変化していくことが大切ですね。