近年、「親ガチャ」という言葉が流行しました。
私自身は「自分の道は自分で切り開くもの」という信念を持っていますので、「親ガチャ」という言葉には迎合できません。
ところが、近年の研究で、パーソナリティ(人格)を形成する要素に、遺伝が重要な役割を果たしていることが分かってきました。
この記事では、パーソナリティの形成要因と親の遺伝について解説します。
また、親の遺伝率が50%を超えるパーソナリティについても紹介しています。
- 人格形成の要因に興味がある人
- 遺伝率を知りたい人
- 家庭環境の影響を知りたい人
パーソナリティの形成
パーソナリティの形成には、3種類の要素が必要です。
①遺伝率
身長や体重など、遺伝子が関与する量的形質における割合を占める率。
②共有環境
兄弟が共有している環境で、一般的に家庭環境(子育て)とされます。
③非共有環境
学校や交友関係など、同じ家庭で育っても共有しない環境です。
パーソナリティ形成における遺伝率
パーソナリティ形成における、①遺伝率、②共有環境、③非共有環境の比率を表したものです。
パーソナリティ | ①遺伝率 | ②共有環境 | ③非共有環境 |
発達障害 | 70% | 7% | 23% |
多動障害 | 68% | 5% | 27% |
思春期の感情 | 64% | 7% | 29% |
情緒障害 | 63% | 6% | 31% |
やる気 | 57% | 0% | 43% |
計算 | 56% | 13% | 31% |
認知 | 55% | 25% | 25% |
抑うつ障害 | 52% | 4% | 44% |
学歴 | 50% | 25% | 25% |
言語 | 46% | 22% | 32% |
ドラッグ依存 | 46% | 26% | 28% |
強迫神経症 | 46% | 6% | 48% |
恐怖不安障害 | 45% | 10% | 45% |
睡眠障害 | 45% | 0% | 55% |
記憶 | 45% | 3% | 52% |
健康 | 44% | 13% | 43% |
パーソナリティ障害 | 44% | 1% | 56% |
集中力 | 44% | 2% | 54% |
アルコール依存 | 44% | 19% | 38% |
幼児期の感情障害 | 43% | 20% | 37% |
摂食障害 | 38% | 2% | 60% |
仕事と雇用 | 37% | 0% | 63% |
宗教 | 36% | 21% | 43% |
親密な関係 | 35% | 0% | 65% |
感情の不安定 | 35% | 19% | 46% |
適応障害 | 33% | 0% | 67% |
人間関係 | 30% | 36% | 34% |
家族関係 | 28% | 6% | 66% |
子育て | 27% | 34% | 39% |
やる気、計算、学歴などは、遺伝率が50%を超えています。
自分の子供に「やる気」が無いのは、果たして誰のせいでしょうか?
学歴は遺伝率が50%!
子供に勉強を強制し辛くなるかも?
仕事の資質
仕事と雇用のパーソナリティ
「仕事と雇用」のパーソナリティ形成は、非共有環境(学校や交友関係)が63%を占めます。
すなわち、家庭以外の交友関係が基礎になって、仕事の資質が形成されます。
理想の先生、尊敬できる先輩、親しい友人達が貴方のパーソナリティを形成します。
両親や親類の属性
一方、「仕事と雇用」のパーソナリティ形成における遺伝率は37%。
両親、親類縁者の職業倫理が、貴方のパーソナリティ形成にも影響します。
商売を営んでいる親戚がいれば、貴方にも副業のセンスがあるかもしれません!
遺伝を語る負の歴史
ここまで、パーソナリティ形成における遺伝について紹介しました。
ただ、第二次世界大戦以降、人間や社会を「遺伝」で語ることはタブーとされてきました。
ナチスドイツによる、ホロコーストに結び付いた優生学の反省に起因するものです。
しかしながら、遺伝と環境の影響力を調べる行動遺伝学では、やはり遺伝による影響は大きいということが徐々に分かってきました。
運も実力のうち?
人は、「頭が良い」「足が速い」「歌がうまい」など、親から受け継いだ性質を基に個性を作ります。
誰もが無意識のうちに、自分の性質にあった環境を構築しているのです。
- 赤信号でも強引に横断する人は、交通事故に遭う確率が高い「運」の悪い人。
- 青信号でも慎重に横断する人は、交通事故に遭う確率が低い「運」の良い人。
信号を横断する時の気質も遺伝によるものであり、「運」も遺伝の一部と考えられています。
さらに、運だけでなく偶然も遺伝の一部と考えられています。
あとがき
パーソナリティ形成の遺伝率は、如何でしたでしょうか?
自分の個性は両親から譲り受けたものであり、子供に引き継いでいくものです。
とはいえ、非共有環境(交友関係)が一定の影響力を持つのも事実。
自分の道を切り開くために、積極的に行動して交友関係を広げましょう。