弁護士から家賃訴訟の委任状が届いた〜給差しできる限度額

訴訟

弁護士から委任契約書が届いた。

保証会社が、賃借人を提訴するようだ。

滞納している家賃を支払わない場合は、強制執行するためだ。

委任契約書に、立ち退きまでの手順書も添えられている。

債権回収していた経験から言えるのは、債務者が裁判所に現れるのは極めて稀である。

少額訴訟で給与を差し押さえるつもりだろうが、債務名義を取れたとしても無職で生活保護を受けているケースも多い。

生活保護の場合は、保護費を差押えできず強制執行できない。

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生活保護費の差押え

勤務先から給料をもらっている場合は、給与の4分の1まで差押え可能(残りの給与が月33万円を超える部分は全額差押え可能)

しかし、生活保護の場合はそうもいかない。

1. 生活保護費の差押え

  • 生活保護費は「最低限度の生活を保障するための給付」であり、原則として差し押さえ禁止(生活保護法58条、民事執行法152条)
  • 少額訴訟で「債務名義(判決・和解調書など)」を取っても、保護費そのものを差押えすることはできない。

2. 例外的に差押えが認められる場合

  • 生活保護費が「受給者の口座に振り込まれて一定期間経過し、保護費と識別できない状態」になった場合、一般の預金とみなされて差押えが可能と判断される場合がある。
  • ただし実務上、金融機関や自治体が「これは保護費口座です」と主張して差押禁止を援用することが多く、実際に回収できるケースは非常に少ない。

3. 実務上の対応

  • 福祉事務所に「家賃の代理納付制度」を依頼する。
  • 契約解除・明渡請求を検討するのが実効性のある方法。

強制執行までの手順

弁護士から強制執行(今回の場合は立ち退き請求)の確認書も添えられていた。

強制執行の流れ
  • 委任契約
    賃料滞納の場合に解除通知を発送できるよう、委任状に署名・捺印。
  • 解除通知
    賃貸借契約を解除するむね通知し、退去交渉を開始。速やかな退去のため、解決金(最大10万円)を支払うことがある。
  • 訴訟
    解除後も物件利用を継続する賃借人に対し、退去を求める訴訟を提起。
  • 判決・和解
    賃借人の大半は裁判所に出頭せず、当方主張が認められることが多い。賃借人から和解の申し出があれば賃貸借契約を継続することもある。
  • 強制執行
    当方の請求が認容された場合は強制執行する。この手続きにより、建物内に残されていた残置物の撤去ができる。

強制執行までの期間は約3ヶ月。今回初めて知ったのは、解決金として最大10万円の負担があること。引越し費用には足りないかもしれないが、これで賃借人の応諾を得られるのなら痛み分けといったところか。

あとがき

すでに問題の賃借人は退去済みなので、強制試行までの流れは回避された。

また、保証会社が債権者なので、私自身に家賃の実害もない。

ただ、面倒な賃借人は、マンションの住人とのトラブルも多かった。

そういえば賃貸借契約の際、最初に審査した保証会社Aから、保証を断られた記憶がある。

2番目に受けてくれた当該保証会社Bは、ハイリスクローリターンで営業しているのだろう。