
日本には、国宝に指定されているお城が5つあり、国宝5城と呼ばれています。
実際に5つのお城を巡って、比較してみました。
改めて観察すると、それぞれに特徴があることを発見できます。
国宝5城一覧
天守が現存する12城の中で、特に価値の高い5城が国宝に指定されています。
天守が現存する12城一覧
江戸時代以前の天守が現存するのは、12城です。
- ①姫路城(兵庫県)
- ②彦根城(滋賀県)
- ③松本城(長野県)
- ④犬山城(愛知県)
- ⑤松江城(島根県)
- ⑥弘前城(青森県)
- ⑦丸岡城(福井県)
- ⑧備中松山城(岡山県)
- ⑨丸亀城(香川県)
- ⑩松山城(愛媛県)
- ⑪宇和島城(愛媛県)
- ⑫高知城(高知県)
姫路城
姫路城の概要

日本最初の世界遺産に登録(1993年)された姫路城。
別名、白鷺城。
1609年に建築された大天守は、屋根瓦と白壁のコントラストが際立ちます。

大天守を支える2本の柱が、東大柱と西大柱。
大天守(5重6階地下1階、高さ31.49m、石垣14.85m)は、当時最大の高層建築です。

最上階には、刑部神社が祀られ、窓から360度の絶景パノラマが望めます。

正面の大手前通り突き当りが、JR姫路駅。
姫路城の見所
1,000本桜

こちらは、春にも訪れた姫路城。
白鷺城に映える、満開の1,000本桜は、圧巻のひとことです。
お菊井戸

怪談「播州皿屋敷」で有名な、お菊さんの井戸。
お菊さんの亡霊が、夜な夜な「いちま~い、にま~い、」と数える悲痛な声が響きます。
姫路動物園

敷地内に姫路動物園が営業しています。
入園料は、大人210円、小人30円。
小ぢんまりした動物園ですが、子供連れファミリーには嬉しいサービス価格です。
姫路城のアクセス
彦根城
彦根城の概要

彦根城は、天守が3階3重の屋根で構成されています。
別名、金亀城。
大津城が移築されたもので、美しいだけでなく軍事面でも優れたお城です。

天守からは、雄大な琵琶湖が見えます。
彦根城の見所
ゆるキャラ「ひこにゃん」

大人気ゆるキャラ「ひこにゃん」の住まいは、彦根城。
1日3回、ファンの前に出没します。

ジャンケン大会で、観衆は大盛り上がりです。
馬屋
城内に残る馬屋は珍しく、彦根城だけで観ることができます。
こけら葺きの屋根は、美しく改修されました。

玄宮園

玄宮園は、大規模な池泉回遊式庭園。
池と周囲を巡る園路を中心に作庭され、桂離宮や兼六園とともに有名。
手前の池、鳳翔台(茶席)、遠くの天守がバランスよく構図に収まります。
彦根城のアクセス
松本城
松本城の概要

松本城は、北アルプスの山々を背景に建立された、数少ない平城です。
別名、烏城。
五重天守の実物が見られるのも、姫路城と松本城だけ。

最上階の望楼では、天井中央に二十六夜神が祀られています。

天守から見える赤い埋橋が絶景です。
松本城の見所
月見櫓

松本城は、平和な時代に建造されました。
その象徴が、朱塗りの月見櫓(写真向かって左の櫓)

月見をするための櫓で、北・東・南の戸を外すと三方が吹き抜けになります。
戦乱の世では、考えられない趣向ですね。
埋橋

埋橋は、松本城と松本城公園を結ぶ橋です。
黒い松本城と赤い橋が、鮮烈で耽美な雰囲気を醸しだします。
松本城公園

公園は市民の憩いの場になっており、散策にぴったりです。
蓮の花が一輪咲いていました。
松本城のアクセス
犬山城

犬山城の概要
犬山城は、織田信長の叔父である織田信康によって築城されました。
別名、白帝城。
豊臣秀吉が入城し、徳川家康と睨み合いが続いた歴史も残っています。
犬山城の見所
最古の天守

天守は、現存する日本最古のもの。
他の城との大きな違いとして、天守の外回廊へ出ることができます。

天守を囲む回廊を、ぐるりと1周すると…

伊木山や犬山橋など、東西南北の風景を眺めることができます。
柵が腰の高さしかないので、高所恐怖症には恐ろしい。
唐破風

唐破風は、丸みをつけた破風の一種です。

正面から見た出窓のような場所は、内側から見るとこんな感じ。
犬山城下町

戦国時代から続く、木造建築が残る犬山城下町。
当時の雰囲気を色濃く残しており、そぞろ歩きが楽しく、多くの観光客でにぎわっています。
犬山城のアクセス
松江城

松江城の概要
松江城は、山陰地方で唯一の現存天守です。
別名、千鳥城。
外壁の多くが黒色の下見張りで、石落としや石打棚など、実戦を強く意識して築かれています。

5階の天守は、壁のない360度の展望が広がる望楼です。

天守から、宍道湖がよく見えます。
松江城の見所
北惣門橋

城につながる北惣門橋の模型。

実際に北惣門橋が復元されています。

堀川遊覧船は、大人1,500円です。
石打棚・塩蔵・井戸

戦を強く意識して築城された様子が、当時のまま残っています。
石打棚で石を砕き、石落としに使われました。

こちらは、塩蔵。

井戸も、そのまま残っています。

井戸を覗くと、かなり深いことが解ります。
興雲閣

興雲閣は、松江城二ノ丸に建つ明治建築です。
皇室の宿泊所としても使用されました。

郷土資料館として無料見学でき、亀田山喫茶室が併設されています。

最後に、宍道湖のサンセット。
島根県立美術館からの夕陽は、市民の憩いの広場になっていました。
松江城のアクセス
国宝5城データ比較
データ | 姫路城 | 彦根城 | 松本城 | 犬山城 | 松江城 |
---|---|---|---|---|---|
異名 | 白鷺上 | 金亀城 | 烏城 | 白帝城 | 千鳥場 |
天守構造 | 連立式望楼型 | 複合式望楼型 | 連結式望楼型 | 望楼型 | 複合式望楼型 |
外観 | 5重6階地下1階 | 3重3階地下1階 | 5重6階 | 3重4階地下2階 | 4重5階地下1階 |
高さ | 31.49m | 15.5m | 30m | 18.793m | 22.4m |
築城年 | 1,346年 | 1,622年 | 1,504年 | 1,537年 | 1,611年 |
所在地 | 兵庫県 | 滋賀県 | 長野県 | 愛知県 | 島根県 |
入場料 | 1,000円 | 800円 | 700円 | 550円 | 680円 |
見所 | お菊井戸 | 馬屋 | 月見櫓 | 天守回廊 | 北惣門橋 |
国宝5城は、建築された年代が違い、それぞれの時代が反映された特徴を残しています。
数百年前の建築物が現代に受け継がれていることは、まさに奇跡です。
あとがき
私は、播州生まれで、幼少期に姫路城や姫路動物園で遊んで育ちました。
良くも悪くも、姫路城がお城の基準として刷り込まれています。
全国の立派なお城を巡っても、鉄筋だったり、エレベーターが付いていたりで少々残念。
それでも、今回巡った5城は、さすがに国宝。
天守が丁重に保存され、行政も観光誘致に尽力し、携わる市民が愛情を注いでいる様子が窺えました。
お城は、世界でも類を見ない日本独特の建築美。
日本人の大切な遺産ですね。

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