厚生労働省が発表した定年退職制度の年齢は以下の通り。
- 60歳 91.1%
- 61歳以上 8.7%
- 65歳以上 6.2%
定年退職を、65歳以上としている企業は、わずか6.2%だけ。
働きたいか否かに関わらず、中高年の就労現場は厳しいものです。
今回は、中高年の職場で得たアンケートを紹介します。
そこには、中高年の士気が下がる原因も見え隠れします。
最後に、中高年の取れる選択肢を考えます。
- 中高年が働かない理由を知りたい人
- 中高年の思考が気になる人
- FIREを目指している人
仕事への貢献・満足度
現在の仕事に貢献しているか?
- 貢献している 30.2%
- まあ貢献している 56.3%
- どちらとも言えない 9.3%
- あまり貢献していない 3.7%
- 貢献していない 0.5%
総じて貢献しているとの自己評価が高いようです。
どのような点で貢献しているか?
- 周囲が期待する成果を出している。
- マネジメントしている。
- 部内で積極的にコミュニケーションを図っている。
- 会社の方針に納得して主導・牽引している。
- 新しいスキルの習得ができている。
- 若手社員の育成指導ができている。
仕事や待遇で満足していること
- 仕事を進める際の裁量や権限 64%
- 柔軟な働き方、休みの取り易さ 63%
- 勤務時間の安定性 62%
- 人脈、人間関係 55%
- 福利厚生 50%
- 給料 48%
肩書や権限の満足度が、定年後の不満に繋がると読み取れます。
今後のキャリアに対する認識
何歳まで働きたいか?
- 50~54歳 5%
- 55~59歳 5%
- 60歳 17%
- 61~64歳 5%
- 65歳 29%
- 66~69歳 14%
- 70~74歳 15%
- 75~79歳 4%
- 80~84歳 2%
- 85歳以上 4%
65歳まで働きたくとも、9割の企業が60歳定年制を導入しています。
定年後も今の仕事で働きたいか?
- はい 1.4%
- いいえ 71.0%
- わからない 26.2%
- 制度がない 1.4%
再雇用の希望は少なく、企業も消極的です。
未経験の仕事に取り組みたいか?
- 取り組みたい 26.5%
- できれば取り組みたい 34.0%
- どちらとも言えない 30.3%
- できれば取り組みたくない 4.8%
- 取り組みたくない 4.4%
仕事を離れて、副業にチャレンジするのも一考。
老後に対する不安
定年後の生活に不安を感じているか?
- 感じている 23.1%
- やや感じている 26.5%
- どちらとも言えない 15.4%
- あまり感じていない 25.9%
- 感じていない 9.1%
生活の何に不安を感じているか?
- お金 90%
- 家族の健康、親の介護 62%
- 自分の健康 60%
- 仕事、キャリア 50%
- 住まい 28%
- 人間関係 24%
- 子育て、教育費 23%
- その他 2%
やはり、お金と健康の心配が上位にランクインします。
(出典:PRESIDENT)
働かない中高年
「働かない中高年」と、ひとくくりにするのは少々乱暴です。
しかし、一般的な概念として、中高年は仕事をしないイメージが定着しています。
とりわけ社会経験の浅い若年層にとって「働かない中高年」は理解できない存在です。
改正高年齢者雇用安定法
2021年4月「改正高年齢者雇用安定法」が制定されました。
企業は、65歳までの雇用延長に加えて、70歳までの雇用について努力義務を求めたものです。
企業にとっても「働かない中高年」を、見過ごすわけにはいかなくなりました。
中高年が働かない原因
中高年が働かないのは、総じて本人に問題があると考えられてきました。
一方で、年功序列や終身雇用のような「日本型雇用制度」が廃止された現代において、「自己成長の場」を提供できなかった経営者に問題があるという風潮も生まれています。
<経営者に問題があるという考え方>
バブルが崩壊したリストラ現場において、中高年は肩書や権限を剥奪され、能力を発揮できる場所も与えられず、閑職に追いやられてしまったという考え方。
構造改革=リストラクチャリング
構造改革の語源は、リストラクチャリング。
リストラの本質は組織の再構築ですが、スクラップばかりでビルドが伴わず、単なるコスト削減に終始してしまったことも大きな原因と考えられます。
中高年の不満
中高年が、会社で不満に思っている声を拾いました。
- 決してやる気がないわけではない。
- 大事な問題が生じても、蚊帳の外に置かれる。
- 意思決定の場に、呼ばれなくなった。
- 役職定年で、仕事が変わらず権限だけなくなった。
- 役職定年で、同じ仕事で給料だけ低くなった。
- 先輩社員に比べて、昇進し辛くなった。
- 昔に比べて、退職金が大幅に減額された。
35年以上勤務した会社員の退職金は、20年前に比べて500万円以上減額になっています。
(※厚生労働省「就労条件総合調査」)
役職定年で、50代社員が意欲と生産性を下げることで生じる経済的損失は、約1兆5000億円に達するとの試算が出ています。
(※2018年 定年後研究所とニッセイ基礎研究所が発表した試算)
中高年の選択肢
最後に、中高年の会社員が取れる選択肢を3つ。
①定年退職まで勤める
定年退職まで働きます。
不遇な待遇や処遇を受け入れ、定年退職までワーク・ライフ・バランスを取りつつ勤め上げる。
②転職して環境を変える
転職エージェントに登録し、自身の価値を見極めて転職活動する。
日本でも、転職3回が平均になるといわれています。
ちなみに、アメリカの転職回数は、平均10回です。
③FIREを目指す
役職定年を見据えて、副業を始める。
FIREを目指し、働くかどうかを自分の意思で決めていくもの。
職業選択の自由がある現代において、何もチャレンジしないのは勿体ないことです。
社外にも目を向けてみましょう!夢中になれるものが見つかるかもしれません。
あとがき
貴方の周りにも「働かないおじさん」はいませんか?
もしかしたら、貴方にも年長の部下がいるかもしれません。
その「働かないおじさん」たちにも、夢と希望を持った新入社員の時代がありました。
中高年の豊富な知識と経験は、決して侮れないものです。
使い辛いと思わず、自尊心をくすぐって活躍できるフィールドを与えてみてはどうでしょうか。