
世界遺産高野山には、宿坊と呼ばれる宿泊施設を兼ね備えた寺が多く存在します。
今回は、真田家ゆかりの「蓮華定院」に宿泊し、勤行を行って参りました。
真田坊「蓮華定院」
関ヶ原合戦で敗北した真田親子は、徳川家康の裁定で高野山へ蟄居を命じられました。
真田家ゆかりの菩提寺「蓮華定院」は、真田昌行・信繁(俗称:真田幸村)親子が、九度山に移住するまで暮らしていた寺です。
2016年の大河ドラマ「真田丸」は記憶に新しいですね。
蟄居とは、江戸時代に武士または公家に対して科せられた刑罰のひとつで、閉門のうえ自宅の一室に謹慎させることです。

高野山は標高約800mの山上盆地で、冬は厳寒の地となります。
10月初旬ですが、既に木々が紅葉していました。

蓮華定院は、金剛峯寺のある中心地から250mの距離に位置しています。

家紋は、六文銭(ろくもんせん)と結び雁金(むすびかりがね)の2つ。

六文銭が描かれた提灯。

院内では建具や什器など至る所に家紋が見られます。

門をくぐると独特の庭や枯山水が目に入ります。

庭園は四季折々に手入れされるそうです。

受付で宿泊費を前払いします。
クレジットカードが利用できました。


私達の部屋は2階のエコノミータイプ。

長い廊下を歩くと立派な庭池が見えてきました。


たくさんの鯉が近付いてきます。

渡り廊下の階段を上がります。
よく手入れされた中庭を横目に見ながら歩きます。


2階の廊下を突き当たって曲がると…

たくさんの客室が並んでいます。

2階の廊下から見下ろした景色です。

中庭の庭木が色付いていました。

蓮華定院は高野山のなかでも特に標高が高く、紅葉が真っ赤になる頃には、厳しく冷え込むと教わりました。

部屋は「ろ号室」。

田舎に帰省したような空間です。

全ての部屋が襖だけで仕切られており、襖に施錠できます。
但し、隣人の声はよく聞こえます。
障子に鍵がありませんので、貴重品はセキュリティボックスへ預けます。

アメニティは無く、浴衣とタオルのみ用意されています。

フリーWiFiです。
電源はコンセントが2つありますが、加湿器と暖房機で一杯です。
電化製品を持ち込む場合は、電源タップが必要ですね。

2階に共同洗面所、共同トイレがあります。

残念ながら、ウォッシュレットは付いていませんでした。

夜の勤行と夕食時間を除くと、入浴の時間は限られています。

館内ではビールの自動販売機もありました。
修行僧の方々も、お酒を嗜まれると話されていました。

屏風の奥に中庭が見えます。

椅子に寛いで庭を眺めると穏やかな気持ちになります。

江戸時代から続く庭園だそうです。
修行僧の方々が、毎日綺麗に手入れされているようです。
蓮華定院の修行体験
高野山は弘法大師(空海)が開いた真言宗の総本山。
宿坊の1日を記したスケジュール表をいただきました。

夕方の勤行

夕方の勤行は、阿字観と呼ばれる瞑想です。
夕方5時から40分間行い、心の中を空っぽにします。

本堂は、1860年に真田家により再建されたものです。
ご本尊は阿弥陀如来です。
阿字観(あじかん)
阿字観の瞑想について説明されています。

瞑想の作法
最初に瞑想の作法を教わり、続いて40分の瞑想に入ります。
心の中が空っぽになる筈なのですが…
辛い…
姿勢を維持するのも難しく、邪念が多くていけません…

朝の勤行
朝の勤行は、読経40分、続いて20分の法話を拝聴します。
読経の合い間に順次ご焼香が回ってきます。
尚、朝夕勤行の参加は自由で無料です。
コロナ前は、多くの外国人を確認できましたが、当日は日本人ばかりでした。
精進料理
勤行が終ると食事です。

夜は提灯に灯りがともります。


院内もライトアップされ、お寺といより料亭の雰囲気。


ライトアップされて枯山水の陰影が際立ちます。

勤行を終えて夕食の広間へ…

真田家の一族が会食した空間です。

精進料理は、高野山の名物である胡麻豆腐や高野豆腐を使用した料理です。
肉や魚はありませんが、色とりどりに調理され美味しいものでした。
ご飯のおかわり自由で、デザートも付いて嬉しい!
精進料理は、仏教の戒に基づき、殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼とします。
<使用禁止の食材>
①肉・魚・卵等の動物性食材
②五葷と呼ばれる野菜(ニラ・ニンニク・ネギ等)

翌朝、1時間の勤行が終わりました。

朝食の準備が整ったようです。

朝の精進料理です。
質素ですが、ご飯のお代わりを頂きました。
真田家墓所

真田家の墓所へお参りします。

細い通路を抜けて外へ出ると墓所があります。

高野杉に囲まれた空間で、ひときわ静けさが際立ちます。

立派なお墓ですね。

枯山水を見納めてチェックアウトします。


駐車場は無料でした。
真田幸村
戦国武将のなかでも人気の高い真田幸村。
実際に「幸村」を名乗ったことはなく、死ぬ前日まで「信繁」を名乗っていたことが記録に残っています。
緋色の兜
真田幸村といえば、緋色(濃い赤色)のイメージですが、実際の兜は黒だったようです。
蓮華定院の僧侶曰く、幸村の武勇伝が偶像化され、派手な赤のイメージが定着したようです。

六文銭
「六文銭」は三途の川の渡し賃と言われています。
家紋「六文銭」は、決死の覚悟で出陣することを意味します。
大阪夏の陣、徳川家康を追い詰めた武勇は、現在もなお伝説として残っていますね。
幸村の名言集
◎狙うは徳川家康の首ただ一つのみ
◎わしの首を手柄にされよ (家康の家臣に討ち取られる前の最後の言葉)
◎恩義を忘れ、私欲を貪り、人と呼べるか
◎人の死すべき時至らば、潔く身を失いてこそ、勇士の本意なるべし (命を捨てても目的を果たすべき時は、潔く玉砕してこそ真の勇士である)
◎いざとなれば損得を度外視できるその根性、世の中に、それを持つ人間ほど怖い相手はない
◎夢をつかんだ奴より、夢を追っている奴の方が時に力を発揮する
◎部下ほど難しい存在はない
◎主君のために死ぬのは武士の習い
蓮華定院の基本データ

・住所:和歌山県伊都郡高野町高野山700 ・電話:0736-56-2233
▶アクセス:関西国際空港から40Km
【車】京奈和道・かつらぎ西ICより約50分
【電車・バス】ケーブル高野山駅→南海バス停「 一心口」 下車すぐ
▶宿泊料金の目安
【エコノミー】大人2人=30,000円~

【デラックス】大人2人=60,000円~

デラックスルームは、個室で中庭に面しており、景色も楽しむことができます。
周辺の見所
2004年「紀伊山地の霊場と参詣道」は世界遺産に登録されました。
特に高野山は見どころが多く、すべてを観光するには1日では物足りません。
高野山 奥の院

無数に立ち並ぶ樹齢数百年の高野杉のなか、20万基以上の墓碑が建立しており、霊地として文化的景観をつくりあげています。

織田信長、武田信玄、上杉謙信、石田三成、明智光秀、豊臣家御一同など戦国大名の墓所がたくさん並んでいます。

御廟橋の奥には弘法大師(空海)の御廟があり、いまもなお瞑想を続けています。
金剛峯寺

金剛峯寺の歴史は、1,200年前の平安時代に始まり、真言宗の総本山とされます。

見事な枯山水です。

「柳の間」は豊臣秀次が切腹した部屋として有名。

壇上伽藍

壇上伽藍とは、弘法大師が曼荼羅の思想に基づいて創建した密教伽藍の総称です。
赤い根本大塔が有名ですね。

色付く紅葉の向こうに根本大塔が見えます。


女人堂

真田坊「蓮華上院」から徒歩数分の不動坂口に「女人堂」があります。
女人禁制の時代、女性はここまでしか入山できませんでした。

大日如来、弁財天、神変大菩薩が祀られています。

徳川家霊台

真田坊「蓮華上院」から徒歩数分にある徳川家の霊台。

将軍徳川家康と2代将軍秀忠を祀る霊屋です。

真田家「六文銭」と徳川家「葵の御紋」が、徒歩数分の距離に祀られているのが不思議に感じられます。
あとがき
高野山は、特に奥の院が好きです。
杉並木の参拝道は真夏でも涼しく、ピンと張り詰めた空気で神妙な気持ちになります。
弘法大師の教えに「生かせいのち」という言葉があります。
1日1日を大切に生きなさいという意味です。

おみやげに熊平の梅干しを購入しました。
このお店は、梅干しの種類が豊富で、どれを買うかいつも迷います。
こんぶ梅、お薦めです!

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