
日本人の平均寿命はよく知られているが、健康寿命は案外知られていない。
統計データ(2022年 厚生労働省)によると、健康寿命は男性72歳、女性75歳。健康寿命とは「介護を受けずに自立した生活ができる期間」のことを言う。
寿命 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
平均寿命 | 約81歳 | 約87歳 |
健康寿命 | 約72歳 | 約75歳 |
日本は依然として世界有数の長寿国であるが、およそ9年〜12年は医療や介護に頼る期間とされる。
例えば65歳で退職したら
男性の場合、健康で自立して過ごせる時間は、退職してから約7年しかない。働く女性の場合は、残り約10年である。もちろんこれは平均値であるが、この残された時間を充分と思うだろうか、それとも短いと感じるだろうか。
我が身の過去10年を振り返るると、おのずと短いと感じる方が多いのではないだろうか。
しかし、運動習慣・食生活・人との関わり・生きがいなどによって、健康寿命は大きく伸ばすことができるとされる。健康寿命を延ばすには、「体」「心」「つながり」の3つの視点からバランスよく意識することがポイントになる。
健康寿命を延ばすヒント
体の健康を保つ習慣・活動
■ 毎日の運動習慣(1日30分以上の軽い運動)
• ウォーキング(速足が効果的)
• ストレッチやラジオ体操
• 筋トレ(スクワット・腕立てなど自重でもOK)
• 自転車・水中ウォーキングなど関節にやさしい運動もおすすめ
■ 食事の工夫
• 野菜・海藻・豆類をしっかり摂る(食物繊維とミネラル)
• 魚や大豆を中心にしたたんぱく質補給(筋肉維持に重要)
• 適塩(1日6g以下を目指す)、過剰な糖分・アルコールは控える
• よく噛む習慣は脳の活性化にもつながる
■ 睡眠と休養
• 7時間前後の質の良い睡眠
• 寝る前のスマホ・飲酒・カフェインを避ける
• 昼寝(20分程度)は認知症予防にも◎
心の健康を保つ習慣・活動
■ 新しいことに挑戦する
• 楽器・語学・絵・写真など、脳を刺激する趣味
• スマホ・パソコンを使いこなす(動画編集、ブログ作成など)
■ 心を整える
• 瞑想・深呼吸・ヨガ
• 朝に日光を浴びる(セロトニン分泌で気分安定)
■ 小さな楽しみを日常に
• 季節の花を育てる
• 毎日のコーヒータイムを楽しむ
• 「今日はこれをした」という満足感が重要
人とのつながりを持ち続ける
■ 社会的つながりが、健康寿命を延ばすカギ
• 地域のサークルやボランティアに参加
• 友人や家族と定期的に会話・おしゃべり
• 「ありがとう」「楽しかった」と言い合える関係を持つ
■ デジタルのつながりも活用
• LINE・Zoom・YouTubeなどで発信したり、交流したり
• 同じ趣味の人とSNSでつながるのも有効
分野 | 例 | 期待できる効果 |
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体 | 運動・食事・睡眠 | 筋力維持、生活習慣病予防 |
心 | 趣味・学び・リラックス | 認知症予防、うつ予防 |
つながり | 地域交流・SNS・家族 | 孤立予防、幸福感UP |
あとがき
現在、朝ドラ「あんぱん」にハマっている。
やなせたかしさんがモデルの物語であるが、代表作「アンパンマン」が大ヒットしたのは、氏が70歳を超えてから。それまでの功績もさることながら、60歳代には腎臓結石、70歳代には心臓病と白内障、80歳代には緑内障と膵臓炎、そしてヘルニア、腸閉塞、腎臓癌、膀胱癌、90歳代には腸閉塞と肺炎を患いながら、人生の最後まで活動を続けられたことに畏敬の念を覚える。
我々凡人も、たとえ健康を損ねたとしても、それまでに培った特技や打ち込んだ趣味があれば、人生の最後まで有意義な人生を送れるのかもしれない。