12月のフランス。
旅の目的地は、モン・サン=ミッシェル。
「一生に一度は行ってみたい珠玉の世界遺産」第一位に選ばれたこともある。
そんなことを言われたら、一度は行ってみたくなるのが人情というもの。
パリに訪れたことがあるが、どうしてもモン・サンミッシェルも見ておきたい。
冬のヨーロッパは寒くなり、ツアー料金も安くなる。
そこで、モン・サンミッシェルだけ連れて行ってもらえるツアーに申し込むことにした。
旅を終えた感想は、やはり珠玉の世界遺産だった。
この記事では、クリスマスシーズンのパリの街並みも紹介しています。
フランスのクリスマスマーケット
港街オンフルール
パリからモン・サンミッシェルまで、観光バスで往復5時間。道中で、ノルマンディー地方の港町、オンフルールに立ち寄ることができた。
印象派の画家たちが、好んで滞在したという旧い港町の風景。オールドハーバーの海面に映るパステルカラーのテラスハウスが、ポストカードのように素敵な街だ。
小さい港町を散策すると、街のシンボルサント・カトリーヌ教会が見えてくる。旧市街にあるサント・カトリーヌ教会は、フランス最大の木造建築。100年戦争で破壊された教会を、船大工たちが修理して現在に至る。
教会のなかは、にぎやかなクリスマス装飾で彩られ、観光客の目を楽しませていた。オンフルールは、とても印象に残る街だった。
モン・サンミッシェル
1979年、潮の干満によって表情を変える孤高の修道院モン・サンミッシェルが、世界遺産に登録された。
モン・サンミッシェル島へとつながる橋は、一般車両の通行禁止。ツアーは、橋の手前400mで、観光バスからシャトルバスに乗り換える。
停留所で、ポップな牛のオブジェを見つけた。ノルマンディー地方は、フランス最大の酪農地帯でもある。
世界遺産の景観を守るために作られた新しい橋を渡ると、モン・サンミッシェルのシルエットが近付いてくる。小島にそびえる修道院の尖塔が美しい。
グランド・リュのメイン通りから修道院へ入っていく。修道院の中は、意外にカラフルな街並みで驚いた。とてもにぎやかで活気がある。
古びた水道は、現在も使えるらしい。
ゴシック様式のラ・メルヴェイユが、迷路のようになっている。ラ・メルヴェイユとは、中世の3つの階層(聖職者・王や貴族・労働者)を演出する、3階建ての建物や廊下のこと。
ラ・メルヴェイユを抜けると、屋上に出る。空を見上げると、尖塔に黄金の聖ミカエル像が見えた。
昔の砲台も残っていた。14世紀の100年戦争では、城塞として活躍した。また、18世紀のフランス革命では、監獄として利用された歴史が残っている。
ちょうど干潮の時間帯になった。360度パノラマの絶景が素晴らしい。
その昔、「モン・サンミッシェルに行くなら、遺書を書いていけ」と言われた。キリスト教の聖地とされたモン・サンミッシェル。満潮時に海に浮かぶ難所は、多くのカトリック巡礼者が命を落としたらしい。
これは、モン・サンミッシェルの模型。周囲960m、高さ79m。円形の島に広がる街のうえに修道院が建てられ、周囲が断崖の海に囲まれていることがよくわかる。まるで要塞のようだ。
ノートルダム大聖堂
クリスマスシーズンのパリの街並みを散策した。
火事で焼失する前のノートルダム大聖堂。大聖堂のなかも、大きなクリスマスツリーで装飾されていた。厳かというより、イエス・キリストの降誕を楽しく祝う雰囲気。現在は、懸命な修復作業が進められている。
セーヌ河岸
1991年、パリのセーヌ河岸は世界遺産に登録された。シテ島を含むシュリー橋からイエナ橋まで、約8Kmの街並みがとても美しい。
セーヌ河の河岸は、バトー・ムーシュ、もしくはバトー・パリジャンの遊覧がおすすめ。建ち並ぶ歴史的建築物を優雅に観光できる。
オランジュリー美術館
ルーブル美術館やオルセー美術館も素晴らしいが、最も好きなのがオランジュリー美術館。モネの「睡蓮」が見どころ。200点以上描かれた睡蓮のなかで、オランジュリー美術館が所蔵する睡蓮は、8点の作品からなる連作。天井から柔らかい光が差し込み、自然の美しい睡蓮がひときわ際立つ演出が見事だ。
ヴェルサイユ宮殿
1979年、パリ郊外のヴェルサイユ宮殿と庭園が世界遺産に登録された。ルイ14世が建築したフランス絶対王政の象徴的な建造物である。
最大の見どころ「鏡の間」は、いつも多くの観光客でにぎわっている。
噴水庭園は、宮殿よりも建造にお金と労力が費やされた。昔の貴族は、毎日この夕陽を眺めていたのだろう。
凱旋門
そして、ライトアップされた凱旋門。
凱旋門の前で、可愛らしい雪だるまが出迎えてくれた。
エッフェル塔
1889年、パリ万博の目玉として建造されたエッフェル塔。高さ324mは、当時の世界で最も高いタワーだった。ただ、エッフェル塔の周辺は、物売りが多くて治安も悪いのでご注意いただきたい。
あとがき
12月のフランス。見ておきたかったモン・サンミッシェルが観れて満足。とても素敵なクリスマスを堪能することができた。
ちょうど、パリ市内でデモの行進に遭遇した。パリ市民のストライキは多い。乗っていたタクシーのボンネットを叩かれ、少し怖い思いをした。フランス人って、デモやストライキが好きなような気がする…