働かない中高年管理職|シニア人材の残酷なリストラ現場

シニア人材のリストラ

働かない中高年管理職。

日本企業の賃上げムードのなか、シニア人材の大リストラが始まっています。

早期退職制度の創設。

役職定年の早期化。

資本関係のない会社へ転籍

各業界の残酷なリストラ事例を紹介します。

貴方の働く会社は大丈夫でしょうか?

製造業

自動車工場

ホンダ

55歳以上の働かない管理職を標的にした、3つの追放策

①早期退職制度「ライフ・シフト・プログラム」

65歳前に退職すれば、割り増し退職金を加算。

55歳退職で年収3年分、56歳退職で年収2.5年分。

55歳で、中クラスの管理職なら、退職金8,000万円になる好待遇。

2,500人の応募者が殺到。

②役職任期制度

いわゆる役職定年。

57歳をターゲットに調整。

要件を満たしていなければ、強制的に役職を剥奪はくだつされる。

③成果報酬を大胆に増やす

5段階評価で、一般的な「B」を取り続けても減収。

良質な人材をつなぎ止め、生産性の低いシニアを追放。

パナソニック 

①昇進試験の簡素化・廃止

基幹職と呼ばれる管理職の昇進試験。

休日返上で試験対策する慣例を、女性や若手社員が敬遠。

このため、公募制で面接中心の選考に切り替え。

試験を廃止してまで、若手を登用したい狙い。

②役割等級制度の廃止

年功序列を廃止。

管理職の資格がなくても、課長・部長のポストに挑戦できる。

③課長・部長の廃止

課長・部長の呼称を廃止。

マネージャー・シニアマネージャーに変更。

中間管理職の序列を破壊し、ジョブ型人事を根付かせる。

ソニー

①ジョブグレード制の導入

社員の報酬は、職務給で決定。

賃金の高い部課で管理職になれば、高給を見込める。

②管理職の役職定年

年齢により、管理職は強制的に解除。

一律、ヒラ社員に格下げとなる。

三菱電機

①中堅社員の若がえり

部長就任を40代後半から前半に。

課長就任を40代から30代なかばへ。

しかし、社員37,000人で課長になれるのは約40%。

部長は、さらに3分の1という狭き門。

ただ、0.1%の役員に昇り詰めると1億円プレーヤー。

②年功序列の廃止

年功序列を廃止方針。

部課長に滞留する、バブル入社組を排除する。

優秀な若手社員のモチベーション維持が目的。

ITベンダー

ITベンダー
役職と年収野村総研伊藤忠テクノNTTデータ
◎課長35歳35歳35歳
課長年収1,300万円1,200万円1,000万円
◎部長40歳40歳40歳
部長年収2,000万円1,700万円1,300万円

ITベンダー勝ち組の、NTTデータ野村総合研究所伊藤忠テクノソリューションズ

ただ、3社でも待遇に差が出始めている。

NTTデータ

①人事評価制度の変更

日立やNECと比べて遜色ないが、将来を悲観し転職する若手が多い。

転職先は、GAFAM。

人事制度を、相対評価から絶対評価に変更。

ただし、部長の好みで決まるという、若手社員の冷笑もある。

②年功序列の廃止

年功序列を廃止し、ジョブ型を導入。

野村総合研究所

①人事制度の改定

成果主義を徹底。

②昇格制度

飛び級の昇格制度を制定。

非管理職から、飛び級で課長に抜擢される仕組み。

一方、成果がでなければ降格となる。

伊藤忠テクノソリューションズ

①人事制度の改定

年功序列を廃止し、ジョブ型を導入。

②給与体系の変更

年収を据え置き、月給が高く見えるように変更。

中途採用で、優秀な若手人材を採用する狙い。

製薬

製薬会社
役職と年収武田薬品工業第一三共
◎主席30代後半30代半ば
主席年収1,200万円1,200万円
◎グループ長40代前半30代後半
グループ長年収1,400万円1,500万円
◎部長40代後半40代半ば
部長年収1,800万円1,800万円

武田薬品工業

製薬業界で役員報酬トップの武田薬品工業。

社長の年収19億円、外国人幹部は5億円。

一方、社内格差は大きい。

外国人の積極採用で、度重なるリストラを実行。

降格退職勧奨あり。

生え抜き社員の離職が著しく激しい。

第一三共

新世代がん治療薬ADCのおかげで、時価総額8兆円。

リストラも少なく、変革は緩やか。

部下なし管理職の「花道ポスト」を容認。

今後、花道ポストの是非が問われる。

銀行

銀行
3大メガバンク
  • 三菱UFJ銀行
  • 三井住友銀行
  • みずほ銀行

日本経済界でも、特に熾烈なメガバンクの出世レース。

若手にチャンスが広がる一方、中高年は出向や転籍を余儀なくされる。

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行年齢年収
本部長46歳~2,000万円~
部長・次長42歳~1,800~2,000万円
支店長42歳~1,500~1,800万円
上席調査役36歳~1,400~1,500万円
調査役30歳~1,000万円
平社員23歳450万円

給与は、経験の職能と、能力・スキルの職務で決定。

階層をスリム化し、30代で本部長になれる体制に変更。

従来の厳しい昇格面接を廃止。

TOEICなど一定資格の取得、論述試験、所属部の推薦で昇格可能。

三井住友銀行みずほ銀行も、100~200万円下回るが、同じような環境。

損害保険

損害保険
大手損保4社
  • 東京海上日動火災
  • 損害保険ジャパン
  • 三井住友海上火災
  • あいおいニッセイ同和損保
企業課長昇進年齢年収
東京海上日動火災37歳1,250万円→1,530万円
損害保険ジャパン39歳1,280万円→1,490万円
三井住友海上火災37歳1,210万円→1,300万円
あいおいニッセイ同和損保38歳810万円→1,070万円

東京海上日動火災保険

東京海上日動火災年収
執行役員部長3,000万円
部長2,000~2,500万円
部付き部長1,800万円
次長・課長1,300~1,800万円

将来の役員に期待されるのは、東大など難関国立大学出身者。

職場が一定地区に限るエリア総合職は、ほとんどが女性。

ところが「女性活躍推進」で、女性管理職比率を上げた余波がでる。

男性の管理職ポストが減る。

女性の給与は据え置き。

制度改定で不満の解消を目論むも、転職者があとを絶たない。

それでも、大手損保のなかで、給与は頭ひとつ抜きんでる。

「女性活躍」は、損保ジャパン、三井住友、あいおいニッセイも推進。

三井住友(21年7月)、あいおい(23年4月)は、女性専用ポストを創設。

課長に昇進できるのは同期の9割。

昇格・降格も柔軟に対応し、比較的不満は少ない。

生命保険

生命保険
大手生保4社
  • 日本生命保険
  • 第一生命保険
  • 明治安田生命保険
  • 住友生命保険

大手生保4社の経営基盤は安定。

いずれも1,000万件超の保険契約数、年間保険料は2兆円超。

大手生保4社年齢年収
役員50代前半2,000万円~
部長40代後半~50代前半1,400~2,000万円
次長40代半ば1,200~1,600万円
課長30代半ば~40代前半1,100~1,300万円
課長補佐30代半ば900~1,100万円
主査20代後半~30代前半500~700万円

日本生命保険

新入生一括採用と年功序列が根強く残る風土。

日本生命では、8~9割が課長職に昇進できる。

明治安田生命保険

ところが、明治安田生命は、2024年4月から年功序列を廃止。

給与も完全に役職にひも付いた制度に移行する。

これにより、課長昇進のスピードは、4社で最速になる。

証券

証券会社

野村証券

証券業界は、会社員の給与として最高峰。

それでも、日系企業と外資系企業で格差がある。

最大手の野村証券でさえ、外資とは比較にならない。

役職年齢外資系野村証券
マネジメントディレクター40歳~1~2億円2,000万円~
ディレクター30代後半1億円1,000~2,000万円
ヴァイスプレジデント32~35歳6,000万円1,000万円~
アソシエイト26歳~4,000万円500~900万円
アナリスト22歳~2,000万円500万円~

ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーなど、外資は年功序列と隔絶。

リーマンショックなど有事の際は、大胆なリストラもいとわず。

もちろん成果がでなければクビ。

過酷な世界である。

ゴールドマンは、22年の金融市場混乱期に、全社員の6%を削減した。

商社

商社

三菱商事

三菱商事年齢年収
執行役員50代1億円~
本部長役員候補2,000万円後半~
部長30代でも可能2,000万円前半~
チームリーダー40代が一般的1,800~2,000万円
マネージャー10年目~1,000~1,600万円
平社員1年目~500~1,000万円

王者、三菱商事は、年功序列が色濃く残る。

10年目に、ほぼ全員が管理職になり、全社員の7割が管理職となる。

年収2,000万円のシニア窓際族が、「ウィンドウズ2000」とやゆされる。

それでも、若手流出阻止のため、30代で部長になれる制度を導入。

20代で関連会社社長に抜擢される事例もでてきた。

食品

ビール醸造
ビール大手4社
  • アサヒ…シェア率36.5%
  • キリン…35.7%
  • サントリー…16.2%
  • サッポロ…11.6%

キリンビール

キリンビール年齢年収
役職定年57歳年収30%減額
部長43歳~1,200~1,800万円
課長37歳~900~1,200万円

①役職定年

役職定年57歳で、年収30%減額。

シニアに偏る人員構成を解消する。

②早期退職制度

45歳以上を対象に、早期退職を募集。

バブル入社組を一層する厳しい社風。

③HDへの転籍

相対的評価が低い社員の自動降格を実施。

下位15%の社員は、自動降格の対象となる。

アサヒ

年収は、キリンビールと同程度。

役職定年があるものの、減額幅は月3万円程度。

会社員人生の最後で、キリンビールを上回る。

早期退職は、1989年入社組に給与60ケ月分を上乗せした。

サントリー

親会社サントリーHDから配属という形態をとる。

評価によって、課長級で1,500万円、部長級で2,000万円も可能。

45歳以上の社員を対象に、早期退職を募集。

サッポロ

課長の年収は、800~900万円。

部長の年収は、1,000~1,300万円。

45歳以上の社員を対象に、早期退職を募集。

電力・ガス

電力・ガス
役職と年収東京電力東京ガス
◎課長30代後半~40代半ば40代前半~半ば
課長の年収1,100万円1,200万円
◎部長40代後半~40代後半~
部長の年収1,400万円1,500万円
◎取締役2,300万円3,000万円
ボーナスなし(年俸制)あり
役職定年ありなし

東京電力

2011年の原発事故で、給与は激減。

直後は管理職25%、一般職20%の年収減額。

現在の待遇は回復するも、東京ガスに差をあけられた。

将来も福島の補償が続き、待遇向上は難しい。

東京ガス

役職定年がなく、年収が急減することはない。

ボーナスは景気に左右されるが、水準を大きく上回ることもある。

東京電力に対し優勢だが、振興勢力JERAの台頭で安泰とはいかない。

ゼネコン

ゼネコン
ゼネコン大手4社
  • 鹿島
  • 大林組
  • 大成建設
  • 清水建設
役職と年収鹿島大林組大成建設清水建設
◎課長40歳前後40歳前後40代前後40歳前後
課長の年収1,000~
1,200万円
1,000~
1,200万円
1,000~
1,200万円
1,000~
1,200万円
◎部長50代前半50代前半50代前半50代前半
部長の年収1,200~
1,700万円
1,300~
1,500万円
1,300~
1,500万円
1,300~
1,700万円
◎役職定年なしなしなしあり

スーパーゼネコン4社は、年功序列で降格もない。

3K(きつい、汚い、危険)の反面、一定の地位と給与が約束されている。

清水建設

異色は、清水建設。

役職定年もあるが、全従業員の定年を65歳に引き上げた。

人手不足のなか、実績や経験値の高いシニアの待遇はよい。

その反面、課長昇進に面接試験がある。

シニアの人件費捻出のため、若手にしわ寄せがきているといえる。

※出典:週刊ダイヤモンド2023年4月号

あとがき

今回の事例は、日本企業のなかでもトップクラスのエリートたち。

とはいえ、中小零細企業の会社員に、関係のない話しではありません。

厚生労働省が発表している所得分布は、以下の通り。

平均年収の中央値は、427万円

平均年収の分布図

中高年の会社員は、転職するにしても厳しい現実が待っています。

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