就業人口300万人フリーランスの正体

春闘を経て、春からベースアップが引き上げられた会社員が多いことと思う。組合員になっておけば、活動に参加しなくても勝手に給料が上がる。本当に羨ましい限りだ。

自営業者は収入の天井が無い代わりに、何もしなければ手取りが増えることもない。むしろインフレで、現金資産は目減りする一方だ。

手っ取り早く資産を増やす方法は、株式で運用することだが、いつ破綻するかわからない恐怖心が付きまとう。結局、長い目でインデックス投資するのが無難な選択なのだろう。

さて、それでは就業人口300万人といわれるフリーランスは、どのような職種に就いているのだろうか。会社員6,700万人と比較し、最新のデータを調査してみた。

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日本全体の就業者

日本の就業者数(労働人口)の全体像(2024年総務省「労働力調査」)によると、 会社員は6,700万人。このうち「正社員・正職員」は約3,600万人。会社員以外で働く人は約400万人程度、うち自営業主は約300万人とされる。

1.就業者の分類(2024年版)

分類人数(万人)割合内容
会社員約6,700約94.4%正社員・契約社員・派遣・パートなど
自営業主約300約4.2%商店主、個人事業主、自由業、フリーランス
家族従業者約50約0.7%農業・商店の家族手伝いなど
その他(役員など)約50約0.7%会社役員、フリーランスも一部含む

2.業種別の就業者割合(2024年版)

業種割合主な職種等
製造業約15%自動車、電機、食品
医療・福祉約13%看護師、介護職、医師
卸売・小売業約12%店員、販売、バイヤー
サービス業約11%飲食、宿泊、美容、娯楽
建設業約7%大工、設備、現場監督
運輸・郵便約5%トラック運転手、郵便局員
公務(行政・教育)約7%教員、役所、警察、消防
情報通信業約3%ITエンジニア、通信
金融・保険業約2%銀行員、証券、保険営業
農林水産業約3%農業、漁業、林業
※これらは過去10〜15年間の推移を踏まえたもので、最も最近の国勢調査(2020年)等でも大きな構成変化は確認されていません。

フリーランスの就業者

「フリーランス(freelance)」とは、特定の会社や組織に雇用されず、個人として仕事を請け負う働き方やその人を指す。

▪️メリット

  • 働き方の自由度が高い
  • やりたい仕事を選べる
  • 成果に応じて収入アップの可能性
  • 人間関係のストレスが少ない

▪️デメリット

  • 安定収入がない
  • 自己管理能力が求められる
  • 社会保障が薄く、病気やケガに弱い
  • 仕事の受注・営業も自分で行う必要がある
業種割合傾向
農林漁業25–30%減少
卸売・小売20–25%減少
製造業14%減少
鉱業・建設業13%増加
サービス業(飲食・娯楽等)20%増加
医業・士業等7%安定/微増
その他5%

農林漁業・卸売小売・製造業では、従来からの典型的な自営業(家族経営型)が徐々に減少傾向。

鉱業・建設業・サービス業では、個人請負やフリーランスなど現代型の自営業が増加

専門性の高い医師・士業などの自営業は、横ばい~微増傾向。

不動産業の位置づけ

なお、不動産業(不動産売買・賃貸・仲介など)は、一般的に以下のように分類される。

分類体系不動産業の扱い
総務省「日本標準産業分類」「不動産業、物品賃貸業」
国勢調査・労働力調査等「不動産業」もしくは「サービス業」「その他のサービス業」

不動産業は、自営業として活動する人が多い業種のひとつ。 特に不動産賃貸業(賃貸オーナー、大家業)は、「従業者なし自営業主(いわゆる一人オーナー)」として分類されることが多い。

なお、不動産仲介業(宅建業者)は、営業免許を持った事業者として「自営業主(雇人のあるなしを問わず)」として分類される。

あとがき

自営業統計では、不動産業だけで自営業主の3〜5%程度を占めるとされる。会社員が想像する以上に、不動産業への個人参入障壁は低い。

そして不動産はインフレにも強い。現金は目減りする一方だが、不動産の資産価値が下がることは考えにくい。バブル崩壊は、マネーゲームで土地価格が高騰し、元の資産価値に収まったにすぎない。戦後80年を振り返っても、価値が失われた土地は、ごく限られた土地に絞られる。

それでは、資産価値の下がった土地とは、どのうな土地だったのか?

次回は、資産価値の失われた過疎地域や軍需転換に失敗した土地など、会社員が購入してはいけない土地について紹介します。

このブログでは、中高年のFIREを応援しています。