自由な日本と不自由な世界。退職しなくても自由なのか?

人間は基本的には自由である

「人間は基本的には自由である」という考えを最も有名に表現したのは、ジャン=ポール・サルトル(フランスの哲学者)です。サルトルは「人間は自由の刑に処せられている」と表現し、人間は根本的に自由であり、自らの選択によって自己を形成していく存在だと説きました。

私たちは何らかの「本質」や「決まった在り方」を持って生まれてくるのではなく、自由な存在としてこの世界に「投げ出され」、自らの行動や選択によって自分自身を定義していくというものです。

そこで、私ならこう言いたい。

「日本人は基本的には自由である」

たとえ社畜の身であったとしても、日本人には多くの自由が許されています。嫌なら会社を辞めればよいだけです。兵役もないし、恋愛も自由、どんな職業でも選択できる自由があります。

確かに会社を退職すると、時間の自由や精神的自由が手に入ります。しかし、明日、会社に行くのが嫌な貴方でも、世界に目を向ければ自分が自由であることに気づくはずです。

この記事では、世界の人々が当たり前のように抱えている不自由を紹介します。

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宗教の自由

日本では特定の宗教を強制されることはほとんどなく、無宗教の人も多いです。クリスマスを祝ったかと思えば、正月には神社に参拝し、お盆には仏教の行事を行うなど、宗教の境界が柔軟です。他国では宗教が厳格に定められていたり、改宗が難しかったりする場合もありますが、日本では信仰の有無も含めて個人の自由が広く認められています。

イスラム教が厳格な国々

イスラム教を国教として定め、シャリーアイスラム法に基づく法律が適用されている国々では、宗教の自由が制限されています。

サウジアラビア

ワッハーブ派(スンニ派の一派)の影響が強く、イスラム教以外の宗教活動は禁止されている。イスラム教からの改宗は「背教」とみなされ、死刑を含む厳罰の対象になることもある。また、女性の服装や行動も厳しく規制される。

イラン

シーア派イスラム教が国教。イスラム教からの改宗は死刑の可能性がある。イスラム法に基づく厳格な規律があり、女性の服装などにも制限がある。

アフガニスタン

タリバン政権下ではシャリーアが厳しく適用され、他宗教の活動は禁止。イスラム教からの改宗は死刑または厳罰の対象。

パキスタン

イスラム教以外の宗教に対する迫害があり、冒涜罪(イスラム教を侮辱したとされる行為)で死刑になることも。

モルディブ

国民全員がイスラム教徒でなければならず、他の宗教の信仰や布教は禁止されている。

キリスト教が強く影響する国々

バチカン市国

カトリックの総本山であり、ローマ教皇が統治する国家。宗教の自由はあるものの、カトリックが完全に中心。

ポーランド

法律上は宗教の自由があるが、カトリックの価値観が社会に強く影響。中絶禁止など、宗教的価値観が政策に反映されている。

ヒンドゥー教が強い国

ネパール

かつてヒンドゥー教を国教としていた。現在は世俗国家だが、ヒンドゥー教が社会に強い影響を持つ。改宗に関する法律があり、改宗を促す活動は制限されることがある。

仏教が国教の国

ミャンマー

仏教が事実上の国教で、イスラム教徒のロヒンギャなどへの迫害がある。

宗教を制限する国(無神論を強制する国)

中国

共産党による統治のもと、宗教活動が厳しく制限され、ウイグル族のイスラム教徒やチベット仏教徒への弾圧が報告されている。キリスト教の教会も政府公認のもの以外は厳しく取り締まられる。

北朝鮮

事実上の国家無神論政策があり、宗教活動はほぼ禁止。キリスト教徒などが弾圧されることが多い。

恋愛の自由

国によっては親の許可が必要だったり、結婚において宗教やカーストの影響が大きかったりしますが、日本では基本的に誰と付き合うか、結婚するかは個人の自由です。同性婚はまだ法的に認められていませんが、LGBTQ+の人々に対する寛容度も少しずつ高まっています。

親の許可が必要な国々

サウジアラビア

結婚する際に親の同意が義務付けられていたり、親の承認が重要視されます。以前は女性の結婚に親の許可(特に男性親族の承認)が必要でしたが、最近は緩和されてきている。

アフガニスタン

多くの場合、親や家族が結婚相手を決める。女性が家族の承認なしに結婚するのは非常に困難。

インドネシア

21歳未満の結婚には親の許可が必要で、法律で定められています。

タイ

20歳未満の結婚には親の許可が必要。

エジプト

18歳未満の結婚は違法だが、実際には家族の承認のもとで早婚が行われることがある。

マレーシア

イスラム教徒の場合、18歳未満の結婚にはシャリーア裁判所の承認が必要。

南スーダン

伝統的に親や部族の長が結婚を決めることが多く、恋愛結婚は難しい

宗教が結婚に強い影響を持つ国々

宗教が法律や社会に強く影響しており、異宗教間の結婚が制限されることがあります。

イスラム教圏

サウジアラビア、イラン、パキスタン、マレーシアなどイスラム教徒の女性は、非イスラム教徒との結婚が禁止されている国が多い。

イスラム教徒の男性は、キリスト教徒やユダヤ教徒の女性との結婚が認められる場合があるが国による。改宗しない限り結婚できないケースも多い。

イスラエル

結婚制度は宗教ごとに異なり、ユダヤ教徒・キリスト教徒・イスラム教徒などがそれぞれの宗教裁判所で結婚手続きを行う。異宗教間の結婚は国内では法律上難しく、海外で結婚してイスラエルで認められるケースが多い。

インド

異宗教間の結婚は法律上可能だが、社会的には非常に困難。特にヒンドゥー教徒とイスラム教徒の結婚は家族や社会から強い反発を受けることがある。改宗を伴う結婚が求められることもある。

フィリピン

カトリックの影響が強いため、離婚が認められていない。カトリック信者は教会の承認なしに離婚・再婚することが難しい。

レバノン

イスラム教、キリスト教、ドルーズ派などの宗教ごとに異なる結婚制度がある。異宗教間の結婚には家族や社会の強い反対があることが多い。

カーストや部族の影響が強い国々

特にインドや一部のアフリカ諸国では、結婚においてカーストや部族の影響が非常に大きく、自由な恋愛結婚が難しい場合があります。

インド

公式にはカースト制度は廃止されているが、実際には社会的に根強く残っている。特に「不可触民」(ダリット)と上位カーストの結婚は強く反対されることが多く、時には名誉殺人(家族が「家の名誉」を守るために殺害する)も発生する。「カースト内結婚」が一般的で、親が決める「お見合い結婚」が多い。

パキスタン

インド同様、部族やカースト的な階層が影響を持ち、自由恋愛は制限されることが多い。特に女性が自由に結婚を決めるのは難しい。

バングラデシュ

イスラム教の影響と、ヒンドゥー文化の影響を受けた社会構造があり、親が結婚相手を決めることが一般的。

アフリカの一部の国

ナイジェリア、スーダン、ソマリアなどでは、部族ごとに結婚のルールがあり、部族を超えた結婚が難しい場合がある。伝統的な結婚制度が根強く、恋愛結婚が認められにくい。

職業選択の自由

日本では、法律上どんな職業を選ぶのも自由です。一部の国では、出身階級や性別、宗教によって職業が制限されることがありますが、日本では基本的に学歴や能力があればどの職業にも挑戦できます。

出身階級によって職業が制限される国

一部の国では、伝統的な身分制度が残っており、特定の階級の人が就ける職業が制限されることがあります。

インド

法律上はカースト制度は廃止されているが、特に地方では社会的に根強く残っている。低カースト(ダリットなど)の人々は、高カースト向けの職業(政治家、高級官僚、企業経営者など)に就くことが難しいことがある。一部の職業(清掃業、皮なめし業など)は、伝統的に低カーストの人々が担ってきたため、他のカーストの人が参入しにくい。

パキスタン

インドと同様に、身分やカーストに近い社会階層の影響があり、低い階層の出身者は公職や企業の高いポジションに就くのが難しい。一部の職業(掃除夫、労働者など)は低い階層の人々に限定される傾向がある。

ネパール

公式にはカースト制度は廃止されたが、実際には高カースト出身者が政治や経済の要職を占めることが多い。

性別によって職業が制限される国

一部の国では、女性が特定の職業に就くことが禁止または極端に制限されている。

サウジアラビア

近年、女性の就業機会は増えてきているが、依然として多くの分野で男性優位。宗教上の理由から、女性が法廷で弁護士として活動することが制限されたり、特定の職業(軍事・警察の一部)への就業が難しいことがある。

アフガニスタン

2021年にタリバンが政権を掌握して以来、女性の就業が大幅に制限された。特に公務員、教育者、メディア関係の職業に就くことが困難になり、女性の働ける職種はほぼ医療・福祉関連に限定される傾向がある。

イラン

イスラム教シーア派の教義に基づく法律が適用されており、女性が裁判官などの高位の法職に就くことが制限されている。一部の職業(鉱業、建設業などの肉体労働)への女性の就業が制限されることもある。

北朝鮮

建前上は男女平等だが、実際には女性が軍の高官や政治の要職に就くことは非常に難しい。女性は「軽工業」「サービス業」に従事することが推奨され、重工業や軍事関連の職業は男性が中心

宗教によって職業が制限される国

宗教が国家制度や社会構造に強く影響を与える国では、特定の宗教の信者しか特定の職業に就けない、または逆に特定の宗教の人々が制限されることがある。

サウジアラビア

イスラム教徒でなければ、多くの政府関連の職に就くことができない。イスラム教の聖地(メッカ・メディナ)では、非イスラム教徒の就労は不可。

イラン

非イスラム教徒は政府の高官職に就くことができない。イスラム教から改宗した人々(特にキリスト教徒やバハイ教徒)は公務員になることが禁止されていることが多い。

イスラエル

ユダヤ教徒が有利な立場にあるが、アラブ系住民(特にムスリム)は公職や軍の高官になりにくい。ユダヤ教の戒律を厳格に守る超正統派(ハレディム)は、宗教上の理由で軍務や一部の職業に就かない場合がある。

ミャンマー

仏教が支配的な国で、イスラム教徒(ロヒンギャ族など)は公職や軍の職に就くことがほぼ不可能。イスラム教徒やキリスト教徒のビジネスチャンスも制限される傾向がある。

マレーシア

イスラム教が国教であり、政府関連の職(特に警察・軍・宗教関係の職)はイスラム教徒が優先される。イスラム教徒は特定の金融・飲食(豚肉やアルコール関連)業に関わることが宗教的に制限されることがある。

民族や出身地によって職業が制限される国

中国

政府機関や軍の高官職は、ほぼ漢民族が独占している。ウイグル族やチベット族は、多くの公務員職に就くことができないか、非常に制限されている。

ロシア

公式には平等だが、実際にはチェチェン系やタタール系の人々が高官職に就くことは少なく、警察や軍においても差別がある。

服装の自由

一部の国では女性が肌を見せる服装をすると問題になることがありますが、日本では比較的自由です。特に都市部では、どんな服装をしても問題になりにくい傾向があります。ただし、一部では規律の厳しい職場や学校も存在します。

法律で女性の服装が規制される国

女性の服装に厳しい規制がある国は、主に イスラム法(シャリーア)を厳格に適用している国 や 保守的な文化・宗教が強い国です。こうした国々では、肌を露出する服装が法律で禁止されていたり、社会的に強い非難の対象となることがあります。

イラン

公共の場では ヒジャブ(スカーフ) と 長袖・長ズボンまたはロングスカート の着用が義務付けられている。2022年の「ヒジャブ抗議運動」以降、規制がさらに強化され、違反者には罰金や逮捕の可能性がある。

アフガニスタン

ブルカ(全身を覆う服) の着用が推奨されており、顔を完全に隠さないと罰則を受けることがある。公共の場での肌の露出はほぼ禁止。

サウジアラビア

以前は アバヤ(全身を覆う黒いローブ) の着用が義務付けられていたが、2019年に法律上の義務は撤廃。ただし、実際には露出の多い服装をすると社会的に批判されることがある。

スーダン

シャリーアの影響が強い地域では、かつては女性がズボンを履くことすら違法とされ、違反すると逮捕・むち打ち刑になることがあった。近年は規制が緩和されたが、地域によってはまだ厳しい。

社会的圧力が強い国

これらの国では、肌を見せる服装を着ても法的には問題ないが、社会的に非難されたり、嫌がらせを受けたりすることがある。

パキスタン

都市部では比較的自由だが、地方では女性が肌を見せる服装をすると強い非難を受けることがある。強姦や暴行事件の被害者が「服装のせい」と批判されることもある。

インド

法律上の規制はないが、保守的な地域ではタンクトップやミニスカートを着ると「不適切」と見なされることがある。都市部では自由だが、地方では露出が高い服を着るとハラスメントの対象になりやすい。

エジプト

観光地では自由度が高いが、一般の街中では肌の露出が多い服を着ると「軽率な女性」と見なされることがある。公共の場でのセクハラ問題も多いため、地元の女性は露出を避ける傾向がある。

マレーシア

非イスラム教徒の女性は自由だが、イスラム教徒の女性はヒジャブの着用が推奨されている。公共の場での露出が多い服装は避けるのが一般的。

インドネシア

ジャカルタなどの都市部では自由だが、アチェ州のようなイスラム法を適用する地域ではヒジャブが義務付けられている。

文化的・宗教的に肌の露出を避ける国

法律ではなく文化や宗教の影響で、肌を見せる服装が問題になる国もあります。

フィリピン

カトリックの影響が強い地域では、ミニスカートや露出の多い服装が「道徳的に良くない」と見なされる場合がある。ただし都市部では比較的自由。

ポーランド

カトリックの価値観が強い地域では、教会では肌を隠した服装が求められることがある。一般的な公共の場では問題ないが、伝統的な地域では肌の露出が多いと白い目で見られることがある。

旅行の自由

日本人のパスポートは世界的に見ても非常に強力で、ビザなしで行ける国が多いため、他国の人々に比べて自由に海外旅行ができます。また、国内においても移動の制限がほぼなく、安全に旅行できるのは大きな利点です。

2025年2月時点のデータでは、日本のパスポート保持者は192の目的地に事前のビザなしで渡航可能です。この数は、シンガポールの195に次いで世界第2位の順位となっています。ただし、ビザ要件は国際情勢や各国の政策によって変動しますので、渡航前に最新の情報を確認してください。

ちなみに日本が承認している国の数は 195か国 で、これに日本を加えると196か国となります。なお、日本が国家として承認していない地域としては、台湾(中華民国)、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、パレスチナ などがあります。 

思想・表現の自由

日本では政治的な意見を述べたり、政府を批判したりする自由が比較的あります。もちろん、社会的な圧力や「空気を読む」文化はあるものの、政府の批判をしただけで逮捕されるようなことはありません。

また、趣味や娯楽の選択肢が豊富でもあります。アニメ、漫画、ゲーム、スポーツなど、趣味の選択肢が非常に広く、他人にとやかく言われることなく楽しめる環境があります。例えば、一部の国ではゲームやアニメが「子供向け」と見なされ、成人が楽しむのが難しいこともありますが、日本では幅広い年齢層がこれらの娯楽を楽しんでいます。

あとがき

いかがでしたか。他にも兵役の義務がある国々は多くあります。このように見てみると、現代の日本人は、なんて恵まれているんだろうと感じませんか?

もちろん「同調圧力」や「暗黙のルール」も強いため、必ずしも個人が完全に自由に振る舞えるわけではありません。それでも、宗教や恋愛、趣味、旅行などに関して、他の国々に比べて自由度が高いと言えるでしょう。

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