
家主業をやっていると「絶望」する瞬間がある。
入居者が退去したあと、ゴミ屋敷になっていたとき。
想像してみてほしい。
油をぶちまけたようなギトギトの部屋を。
ゴ○ブリの死骸が散乱するおぞましい光景を。
世の中には、掃除をしない人種が確実に存在する。
清掃のプロに任せるかどうかは、時間と金と労力を天秤にかけている。
今回は、そういう汚い話ではない。
気絶しそうな絶望に、遭遇した話だ。
マンション階下に水漏れ発生
厄介なトラブルのひとつに、水漏れ事故がある。

戸建の場合は入居者に迷惑をかけるだけだが、分譲マンションの場合はそうはいかない。
自分の所有する406号室から水漏れが発生。
階下306号室の天井が水浸しになった。
水回り専門会社のいい加減な調査
マンション管理会社が、相談もなく(ぼったくりの)水回り専門会社に連絡して調査が行われた。

調査費用は、(ぼったくりの)9万円。
水漏れが指摘された洗面台の交換費用が、(鬼のようなぼったくりの)16万円。
調査費用9万円だけ支払って、洗面台は自分のチームで交換した。

ところが洗面台を交換しても、階下306号室の水漏れは止まらない。
水回り専門会社の作成した立派な調査報告書は、まったくのデタラメだった。

原因が特定できず、水道管・給湯管・排水管の調査をすることになった。
そうなると、水回りがすべて使えなくなる。
406号室の賃借人には、引っ越し費用として家賃5ヶ月分を返金して転居してもらった。
高価な水回り設備
リフォームで厄介なのは、資材の高騰した水回り設備である。
一番安い洗面台は、6万円から。
一番安いキッチンなら、8万円。
一番安いトイレでも、10万円以上。
最難関ユニットバスは、100万円超。

断腸の思いで、めぼしい箇所のフローリングに穴を開けた。
高価なフローリングだが仕方ない。
傷跡は、安価なクッションフロアで隠せばいい。

しかし…違ったようだ…ここじゃない。
水道管でも給湯管でもない。
だんだん焦りが出てくる。
ユニットバスなのか…
ユニットバス、おまえなのか?
そう。ユニットバスは、絶対に遭遇してはいけないラスボスなのである。
怪しいと思ったら、売却して逃げる一手。
だが、今回はすでに階下306号室に迷惑をかけている。
逃げることはできない。
もう腹を括るしかないのか?
穴を開けるしかないのか?
ユニットバスは組み立て式なのだが、一度解体すると復旧できない。穴を開けると、新しいユニットバスに交換が必要。配管復旧も視野に入れて、150万円は覚悟するしかない。最近の損保はケチになり、保険金も当てにできなくなった。
絶望の瞬間

ああ…
ユニットバスに穴が空いてしまった。
気絶しそうなくらい、絶望する瞬間だった。
1万円札が飛んでいく。
…しかし、これで終わりではない。
奥からじわじわと水が漏れ出してくる。
はっきりとした原因を突き止めるのはこれからなのだ。
実は、こんな災難に遭うのは「呪い」ではないかと思っている。
今回の事件現場は、過去記事「事故物件を買うとこうなる!」で紹介した一室。
いずれ絶望から立ち直ったら、この続きを報告したいと思う。