3つの退職金と2つの社会保険|早期退職の受取方法と注意点

早期退職の退職金と社会保険

早期退職して3年が経過しました。

退職する際に、一番気がかりだった退職金と社会保険。当時は知識も乏しく、今となっては後悔する選択もありました。

とりわけ、社会保険は生涯つきまといます。なるべく多くの情報を手に入れ、損をせずに退職したいものです。

この記事では、3つの退職金2つの社会保険について解説しました。

あとがきで、私の経験を踏まえた失敗談を紹介しています。これから早期退職を検討する方の参考になれば幸いです。

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退職金

退職金には、いくつか異なる種類の退職金制度や支給方法があります。一般的には、以下の3つの種類を、退職金とする企業が多いです。

3つの退職金

①確定給付企業年金(DB)

企業があらかじめ退職金額を設定して、従業員が退職する時点で支給する制度です。退職金は勤続年数や給与水準などを基に計算されます。企業が退職金の資金を積み立て、運用リスクも企業が負担するのが特徴です。

②確定拠出年金(DC)

従業員が退職するまでに積み立てられた資金を元に、運用益や元本が確定する仕組みです。企業と従業員が拠出金を積み立て、運用のリスクは従業員が負担します。日本では「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金(iDeCo)」があります。

③退職一時金制度

退職時に一度に支給される一時金の形での退職金です。給与水準や勤続年数に応じた額が一括で支払われるため、退職後の生活資金として利用しやすいですが、受給時の税金や運用が個人に委ねられます。

これらの退職金制度は、企業によって組み合わせて導入されることもあり、それぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。

受取方法と注意点

3つの退職金(確定給付企業年金、確定拠出年金、退職一時金)の受取方法と、それぞれの注意点は以下の通りです。

①確定給付企業年金(DB)

受取方法

一時金:退職時に一括で受け取ります。

年金形式:定期的に年金として分割で受け取ります。

一部一時金+年金:一部を一時金として受け取り、残りを年金として受け取ることも可能です。

注意点

税金:一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象になります。一時金のほうが控除額が大きい場合が多いです。

ライフプラン:年金形式で受け取ると長期的に安定した収入が得られますが、一括で必要な場合には一時金が便利です。年金形式は長生きするほど有利ですが、途中で資金が必要になると対応が難しい場合もあります。

②確定拠出年金(DC)

受取方法

一時金:まとめて一括で受け取る方法。

年金形式:一定期間の年金として分割で受け取る方法。

一部一時金+年金:一部を一時金、残りを年金形式で受け取ることができます。

注意点

受給開始年齢:原則として、確定拠出年金の年金資産は60歳にならないと受け取ることができません。加入期間が10年未満の場合は、受給開始年齢も後ろ倒しになります。

運用リスク:運用成績によって受取額が変動するため、投資のリスクを理解して運用する必要があります。退職時の市場状況に大きく影響を受けるため、事前にリスク分散のためのポートフォリオを考慮することが大切です。

税金:一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金形式では公的年金等控除が適用されます。税制メリットを考え、受取方法を選ぶことが重要です。

③退職一時金制度

受取方法

一時金:退職時に一度にまとめて受け取る。

注意点

運用の必要性:一度に多額の退職金を受け取るため、退職後の生活資金として長期的に運用する計画が必要です。

税金:退職所得控除が適用され、勤続年数が長いほど有利ですが、多額の一時金を受け取った場合でも、受給時の税負担を考慮する必要があります。

老後の計画:一時金として全額を受け取ると長期的な安定収入がなくなるため、老後の資金計画に沿って運用や節約を検討することが大切です。

これらの受取方法を比較しながら、自分のライフプランや税負担を考慮して、最適な受取方法を検討することが大切です。

社会保険

社会保険

2つの社会保険

日本における代表的な社会保険は、以下の2つを指します。

①健康保険

内容

目的:病気やケガ、出産などで医療を受ける際の医療費負担を軽減するための保険です。

対象者:企業に勤める人やその扶養家族が対象になります(国民健康保険は自営業やフリーランスなどが加入)。

給付:医療費の自己負担を原則3割に抑える他、出産手当金、傷病手当金なども支給されます。

注意点

保険料負担:保険料は労使折半で支払われます。

医療費の範囲:一部の治療や高度先進医療など、健康保険が適用されないものもあるため、治療の内容に応じて実費負担が発生する場合があります。

②厚生年金保険

内容

目的:老後や障害、遺族の生活保障を目的とした年金制度です。

対象者:企業に勤める人が対象で、加入者は原則20歳から60歳まで保険料を支払います。

給付:老後に支給される老齢厚生年金、障害者への障害厚生年金、遺族への遺族厚生年金が含まれます。基礎年金(国民年金)と併せて支給されるため、老後の生活資金として重要です。

注意点

保険料負担:保険料は健康保険と同様に労使折半で支払われます。

受給資格:10年以上の加入期間が必要です。また、受給額は給与や加入期間により異なります。

健康保険と厚生年金保険は、労働者にとって医療と老後の生活保障を支える重要な制度です。それぞれの保険料は給与から自動的に差し引かれるため、労使での負担割合や給付内容を理解しておくことが大切です。

会社員と自営業(フリーランスなど)では、社会保険の加入状況や負担が大きく異なります。それぞれの違いについて、健康保険と年金制度に分けて説明します。

会社員とフリーランスの違い

①健康保険の違い

会社員

加入制度:会社員は「健康保険」に加入し、健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)を通じて医療保障を受けます。

保険料負担:保険料は給与に基づいて計算され、会社と折半で負担します。

給付:会社員は、医療費の3割負担に加え、傷病手当金(病気やケガで働けない期間の所得補償)や出産手当金などの給付が受けられます。

自営業

加入制度:自営業者は「国民健康保険」に加入し、市区町村が管理する国民健康保険の医療保障を受けます。

保険料負担:全額を自分で負担し、前年の所得に基づいて保険料が決まります。企業の補助がないため、負担が大きくなることがあります。

給付:医療費の3割負担は共通ですが、傷病手当金や出産手当金は原則としてありません。

②年金制度の違い

会社員

加入制度:会社員は「厚生年金」に加入し、老後の年金(老齢厚生年金)、障害年金(障害厚生年金)、遺族年金(遺族厚生年金)の保障を受けます。

保険料負担:保険料は給与に基づいて計算され、会社と折半で負担します。

給付額:厚生年金は、国民年金(基礎年金)と合わせて支給されるため、将来の年金額が自営業よりも高くなることが一般的です。

自営業

加入制度:自営業者は「国民年金」に加入し、国民年金(基礎年金)のみの保障を受けます。

保険料負担:国民年金の保険料は一律で、全額を自分で支払います。収入に関係なく一定額のため、低所得でも負担額は変わりません。

給付額:国民年金のみの受給となるため、老後の年金額は会社員に比べて少なくなります。追加の老後資金を確保するため、個人型確定拠出年金(iDeCo)などの加入を検討することが一般的です。

このように、会社員は健康保険・厚生年金ともに企業が負担を一部補助し、保障内容も充実していますが、自営業者はすべての保険料を自己負担するため、金銭的負担が大きくなりがちです。また、給付内容にも差があるため、老後や病気のリスクに備えて自分で追加の資金を確保する必要があります。

あとがき

早期退職の最大のデメリットは、厚生年金が減額されることです。会社員時代と早期退職後の年金定期便を比べると愕然とします。詳細は別の記事で紹介しています。

次に、株式譲渡益を確定申告してしまったことです。驚くほど社会保険料が跳ね上がりました。すでに特定口座(源泉徴収あり)で納税しているわけですから、所得に加算する必要はなかったと後悔しています。大きな声では言えませんが、税務署から指摘が入れば、修正申告すればよいだけです。フリーランスで節税対策をして、所得税や事業税を減免された意味がありませんでした。

最後に、退職金を運用する金融機関を間違えました。確定拠出年金(DC)は、60歳まで受け取ることができません。確定拠出年金(DC)を預けていた都市銀行で、引き続きiDeCoの口座を開いてしまいました。口座はネット証券で開設するべきでした。投資信託や株式取引で資産運用する場合は、手数料や維持管理費の安いネット証券をおすすめしています。iDeCoもネット証券口座に集約すれば、資産をまとめて管理できたと思います。

ちなみに、退職後にiDeCoで資産を積み増すのは損です。退職金控除額を使い切っている場合、受取時に所得税が発生します。政府が、iDeCoの積立増額の議論を始めましたが、余剰資金はNISAで運用しましょう。