
私のような50代は、転職を後ろ向きに捉えがちだ。会社で務まらずに、ドロップアウトしたようなイメージを持つ。
しかし、近年では様変わりし、ステップアップのために転職する若者が増えているようだ。
こちらとしては「もう見切るのか?」と驚いてしまう。実際に数年は働いてみないと、会社の本質は分からないと思うのだがどうだろうか。
今回の記事では「転職」に対する反応と、日本における年代別の傾向を紹介します。
転職に対する反応
転職に対するアメリカ人と日本人の反応です。その違いは明らかです。
項目 | アメリカ人 | 日本人 |
---|---|---|
生涯転職回数 | 約10〜12回 | 約2〜3回 |
転職イメージ | 成長・挑戦・キャリア手段 | 安定を欠く、不利に働く |
キャリア形成 | 転職で自己実現 | 社内の昇進 |
年功序列・終身雇用 | 少ない、ほぼ無し | 根強いが崩れつつある |
アメリカ人の転職
アメリカ労働統計局の調査によると、アメリカ人は18歳から52歳までに平均12.4回の転職を経験しています。特に25歳から34歳の転職が顕著で、すでに平均3回以上の転職歴があります。転職は、むしろポジティブな「成長の証」として認識されているようです。
• キャリアアップのため
• 給与や福利厚生の向上
• 自己実現や働きがいの追求
日本人の転職
厚生労働省の調査によると、日本人の生涯転職回数は平均3回。男性が約3.2回、女性が約2.6回。年功序列と終身雇用の安定志向が根強い一方で、転職に対する意識も変化しているようです。
日本の背景
• 新卒一括採用 → 年功序列 → 終身雇用という「三種の神器」的な雇用制度
• 「転職=逃げ」というネガティブなイメージが強い(特に50代以上)
変化の兆し
• 若年層(20代~30代)では「キャリアアップ型転職」が増加傾向
• 転職サービスや副業解禁など、柔軟な働き方への関心が高まりつつある
近年の日本でも徐々にアメリカ型のキャリア観に近付きつつあり、とくに若年層や都市部における転職が一般化してきているといえるでしょう。
日本における年代別の傾向
日本における年代別の傾向です(2024年統計)
20代
• 転職率:男性13.4%、女性11.3%
• 傾向:前年と比較して転職率は減少傾向にあります。これは、初任給の引き上げや賃上げの影響で、転職を控える傾向があるためと考えられます。
30代
• 転職活動実施率:年間平均で4.7%、12月単月では5.1%と最も高かった。
• 傾向:キャリアアップや専門性の向上を目的とした転職活動が活発です。
40〜50代
• 転職率:女性の転職が増えており、40代女性で前年比+0.9pt、50代女性で+0.5p増加。
• 傾向:経験やスキルを活かし、同業種への転職が増加傾向です。
あとがき
実は、日本人の転職率は低くない。
日本の従業員の35%が転職を検討しているという(実際に転職するかどうかを除く)
これは、オーストラリアに次ぐ高い割合で、例えばブリスベンの従業員は1年未満で18.6%が離職するという。イギリスにおける転職意欲も高く、32%が転職を検討しているそうだ。
このように海外と肩を並べるほど日本人の転職意識は変化しつつあり、50代会社員には信じられないような転職市場ができあがっている。
市場が活発に流動しているとはいえ、50代会社員の転職には、高い障壁があることもまた事実である。