
スペインに「トレドを見て死ね」という諺があります。
「1日しかスペインにいられないのならトレドに行け」と言われるほど、風光明媚な場所として知られ、最もスペインらしい街とも言われます。
イタリアにも「ナポリを見てから死ね」という諺がありますので、どちらを見て死ぬか迷いますね。
「サグラダ・ファミリア」や「アルハンブラ宮殿」も素晴らしい景観でしたが、エル・グレコが愛したと言われる「トレドの街」が最も強く印象に残りました。
古都トレド

古都トレドは、イベリア半島の中央部に位置し、スペインからポルトガルへ流れるタホ川に囲まれた小高い岩山の上に築かれた要塞のような街です。
1561年に首都がマドリードに移されるまで、首都として数多くの支配者に統治されてきました。
地理的に東西文化の歴史が交わり、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の影響を受けた独特な街並みが、スペインの国宝に指定され、1986年には世界遺産にも登録されています。
スペインの首都マドリードから70Kmとアクセスがよく、地中海性気候に属した温暖のため、世界中からたくさんの観光客が訪れます。
ルネサンス期のスペインを代表するギリシャ人画家”エル・グレコ”が愛した街としても有名。
トレド大聖堂

トレド大聖堂は、 1226年にフェルナンド3世の命により建築が開始され、1493年に完成したゴシック様式のカテドラルです。
聖具室には、エル・グレコの絵画「聖衣剥奪」が飾られています。

サント・トメ教会

サント・トメ教会は、14世紀にモスクを改装した教会で、エル・グレコの最高傑作「オルガス伯の埋葬」が飾られています。
教会司祭の依頼により、サント・トメ教会の聖母マリア礼拝堂のために、1586年から1588年にかけて描かれたものです。
エル・グレコは、自分と自分の芸術を高く評価した聖職者、法学者、詩人、学者たちをこの作品に描き、不朽の存在にすることによって心から敬意を表したものと考えられています。

サンタ・クルス美術館

サンタ・クルス美術館は、16世紀にトレドの大司教だった枢機卿メンドーサの遺志を受け継ぎ、イサベル1世の命により建てられた、病人や虎児のための慈善施設です。
エル・グレコの「聖母被昇天」などが飾られています。

トレドへのアクセス

首都マドリードからトレドまで約70Km。
ツアー参加以外のアクセスは、直行の特急列車やバスが運行しています。
駅から旧市街へ歩く場合は、ビサグラ門から中心地ソコドベール広場まで10分程度です。

ビサグラ門のアーチ内部には、旧首都トレドの紋章である見事な2頭の鷲が彫られています。
1986年、トレド大聖堂など旧市街全域が「古都トレド」としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
現代化を免れ、古代ローマから西ゴート王国、後ウマイヤ朝、スペイン黄金時代の2,000年にわたる文明の痕跡を残していることや、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教による異文化の混合がムデハル建築に示されていることなどが評価されました。

古都トレドは、タホ川に囲まれた古い小都市。
エル・グレコの足跡が街中に残され、多様な異文化が融合したエキゾチックな街は、展望ポイントから眺めることができます。
旧市街は、まさに要塞都市ですね。

ラマンチャ地方の白い風車

トレドからグラナダへ向かう途中、ラマンチャ地方を通り抜けます。
セルバンテスの名作「ドン・キホーテ」で有名な白い風車群が立ち並んでいます。
もともと34基あった風車ですが、現在は10基だけが稼働中。
有料で内部も公開されています。

青い空と白い雲。
のどかに風車が回転しています。

アルハンブラ宮殿

スペインには、こんな諺もあります。
”Quien no ha visto Granada no ha visto nada.”
直訳すると「グラナダを見たことがない人は、何も見たことがない」
意味は「グラナダを見たことがない人は、何も見ていないのと同じだ」です。
グラナダ

グラナダは、スペイン南部のアンダルシア地方に位置しています。
かつては、イベリア半島イスラム王朝「グラナダ王国」の首都でした。
グラナダで最も有名なのは、アルハンブラ宮殿。
イスラム様式の装飾に彩られた宮殿と、ヘネラリーフェ庭園が最大の見どころです。
また、グラナダ最古の街アルバイシンは、当時のアラブ人居住区の面影をそのまま残しています。
1984年「グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区」の3つがひとつの世界遺産として登録されました。
サンニコラス広場から見るライトアアップされたアルハンブラ宮殿が素敵です。
イスラム芸術の最高傑作

アルハンブラ宮殿は、イスラム芸術の粋を集めた最高傑作のひとつ。
宮殿の内部は、アラベスク模様や天井装飾のムカルナス、透かし彫りの窓などで装飾され、荘厳のひとことです。


こうしたアラベスク模様や、水、植物を取り入れた建築様式がイスラム美術の結晶と言われています。
美しい彫刻や噴水が、当時の栄華を忍ばせており、特に「ライオンの中庭」と呼ばれる噴水は是非とも見ておきたいですね。

ヘネラリーフェ

へネラリーフェは、至る所に噴水があり緑のアーチが美しい庭園。
1年中、綺麗に花が咲いており、管理も行き届いています。
緑のアーチをくぐりながら広い庭園を歩いていると、まるで水と花の楽園のようです。
グラナダは年中温暖で過ごしやすいため、観光にも最適な街です。

アルバイシン地区

アルバイシン地区は、城塞都市として発展したアラブ人の居住区。
路地が迷路のように入り組み、建物は白く塗装されています。
白い壁に囲まれ果樹園を含む緑の中庭を持つ家屋を「カルメン」と呼んでいます。
スペインで一般的な女性の名前「カルメン」の由来です。

名物といえば、パエリヤ(スペインでは、パエージャと呼びます)。
スペイン各地で食べるパエージャは、本当に美味しいです!

「グラナダを見たことがない人は、何も見ていないのと同じだ」と言われないよう、機会があれば訪れてみては如何でしょうか。
訪れた際は、雲ひとつ無い、絵の具で描いたようなコバルトブルーの空でした。

バルセロナとガウディ建築群
バルセロナへ戻ると、アントニ・ガウディの建築群に圧倒されます。
サグラダ・ファミリア

最も有名なのは、サグラダ・ファミリア。
建築の着工から130年以上経過していますが、ガウディ没落後もいまだ工事中。

床から天井までの高さは45メートル。
ラテン十字型の形状をしています。

自然光が降り注ぐステンドグラスは、息をのむほどの美しさです。

私が生きている間に完成したら、もう一度行きたいですね。
グエル公園

グエル公園もアントニ・ガウディ作品群のひとつ。
自然と調和する広大な公園全体にモザイク装飾が施され、トカゲ(オオサンショウウオ)の噴水が撮影スポットになっています。

あとがき
私達夫婦は、今は無き「てるみくらぶ(2017年倒産)」のツアーでスペインを訪れました。
JTBや阪急交通社の半額という破格ツアー(夫婦2人で合計30万円)でしたから、トラブルが多いのではないかと不安でしたが、他の旅行会社と比べても遜色なく旅行を満喫することができました。
ツアー同行者が現地スリに遭遇していましたので、治安にはお気を付けください。
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