
富士山は、太古から信仰の対象として人々に崇められ、多くの芸術作品を生み出したことから、2013年に世界文化遺産に登録されました。
独立峰で、箱根や伊豆など絶景スポットが多いのですが、登山は全くの別物です。
私達家族も初心者でしたから、登山は本当に地獄でした!
この記事では、初心者が準備しておく知識・体力・ギアについて解説しています。
- 富士山が好きな人
- 富士登山に興味がある人
- 富士登山に挑戦する人
知識の準備
毎年、20〜30万人が富士登山に挑戦します。
コロナ前、4人に1人が外国人であったことから、世界的に有名な山であることがわかります。
4つの登山口と登山ルート
富士山の山頂へ至る登山ルートは、4つあります。
それぞれ起点となる登山口が異なります。
①吉田ルート(黄色)の登山口:富士スバルライン五合目
②須走ルート(赤色)の登山口:須走口五合目
③殿場ルート(緑色)の登山口:御殿場口新五合目
④富士宮ルート(青色)の登山口:富士宮口五合目

①吉田ルート(黄色)
- 標高差:約1405m
- コース距離:約13.8Km
- タイム:登り6時間25分・下り3時間50分
- 登山者が最も多く初心者にも安心なコースです


吉田ルートは最もポピュラーで、初心者の多いコースです。
②須走ルート(赤色)
- 標高差:約1740m
- コース距離:約12.9Km
- タイム:登り7時間・下り3時間40分
- 樹林帯や砂走など、登山経験を要するコースです


須走ルートは、登山の経験が必要です。
③御殿場ルート(緑色)
- 標高差:約2260m
- コース距離:約17.4Km
- タイム:登り8時間15分・下り4時間30分
- 標高差が大きく距離が長いため、登山者が少なく健脚向きのコースです


御殿場ルートは、体力に自信のある方に向いています。
④富士宮ルート(青色)
- 標高差:約1330m
- コース距離:約8.7Km
- タイム:登り5時間45分・下り3時間50分
- 吉田ルートに次いで登山者が多く、行程も最短で初心者にも安心のコースです


富士宮ルートは、初心者にもお勧めです。
登山行程
登山行程は、体力と日数を考慮して「日帰り」と「山小屋1泊2日」から選択します。
①ご来光登山(山小屋利用1泊2日)
②日帰りご来光登山(登山口夜発)
③ゆとり登山(山小屋利用1泊2日)
④前夜泊・日帰り登山(山小屋利用)
⑤頂上泊・ご来光登山(山小屋利用1泊2日)
①ご来光登山(山小屋利用1泊2日)
◎一般的な登山です。
初日の正午頃登山口5合目に到着→食事を済ませ13時出発→16時に山小屋到着→4~5時間の休憩・仮眠→午前1時出発→5時頃登頂・ご来光→12時頃五合目到着


ツアー催行の多い一般的な登山です。
②日帰りご来光登山(登山口夜発)
△夕方五合目到着→徹夜で登頂・ご来光→午前中に五合目到着。
大勢の登山者がこうして登っていますが、体力的にかなりきつく、一気に頂上を目指すため高山病になるリスクも高まります。
初心者による「日帰り登山」や「弾丸登山」と呼ばれる0泊2日の登山は、高山病を発症し登頂を断念する人が増えています。

一気に頂上を目指すため、初心者には辛いです。
③ゆとり登山(山小屋利用1泊2日)
△山小屋で朝まで睡眠を取り、山小屋の前でご来光を迎えてから頂上を目指します。

ゆっくり登れますが、頂上でのご来光は拝めません。
④前夜泊・日帰り登山(山小屋利用)
△初日の夕方に五合目に到着し山小屋に宿泊、7合目付近でご来光を迎え午前中に登頂します。
夕方には五合目に戻ってきますので、24時間の日帰り登山と同じです。
どの区間も混雑しにくい時間帯を歩きますので、その分ゆとりがあります。

実質、日帰り登山ですが、頂上でのご来光は拝めません。
⑤頂上泊・ご来光登山(山小屋利用1泊2日)
〇頂上の山小屋に泊まり、ご来光を迎えます。
初日は朝から夕方まで時間をかけてゆっくり登ります。
高山病になってしまった場合は、頂上での滞在は難しくなります。
富士山の近くに前泊する必要があるため、実質2泊3日の行程になるでしょう。

ゆとりのある登山で、体力的にも安心です。
お鉢巡り
お鉢巡りをする場合は、下山の体力を温存し、ゆとりのある時間調整をしましょう。
吉田ルート八合目や御殿場ルート七合目を過ぎると、下山道に山小屋はありません。
下山時に利用できる山小屋は、事前に確認しておきましょう。


体力に余裕がある方は、お鉢巡りもお勧めです。
トイレ利用のルールとゴミのマナー
簡易トイレ利用上の注意
簡易トイレを利用する際は、100円~300円程度の協力金(チップ)が必要です。
トイレの廃棄物は、麓まで運搬して処理します。
清掃員の人件費、建物のメンテナンス、燃料費など、維持管理に莫大な費用がかかっています。
携帯トイレを持参しておくと便利です。

トイレは無料ではありません!
ゴミ箱はありません
五合目、登山道、山小屋、トイレに、ゴミ箱はありません。
持ち込んだゴミは勿論のこと、配給された弁当・お茶も全て持ち帰りましょう。

ゴミの出ない工夫をしましょう!
体力の準備

登山の体力づくり
富士山の登山者には、登山初心者が多い点が特徴です。
標高3,776mの登山は、決して易しいものではありません。
少なくとも20Km以上の登山と下山が必要です。
日頃から鍛錬して準備しておきましょう。
下山の事故防止
- 下山時に膝や関節を傷めないように、スクワットや筋力トレーニングがお勧めです。
- 心肺機能を高めるため、ウォーキングなど有酸素運動が有効です。
予行演習
近隣の山で、登山やハイキングに慣れておきましょう。
本番直前は、少し長い距離を歩いて、ギアや荷物のチェックをすると安心です。

日頃からウォーキングで鍛えておきましょう。
ギアの準備
富士登山に準備したい持ち物一覧です。

ギア
- トレッキングシューズ(ソールのしっかりした登山用シューズがベスト)
- トレッキングポール(杖は2本有った方が楽です。最低でも1本は必要)
- ザック(バックパック 、日程により20~35Lモデルが中心)
- ザックカバー(雨のとき便利)
- ヘッドランプ(両手が塞がるので必須)
- サングラス

ウェア
- ジャケット・パンツ(防寒で雨風に強く通気性に優れた素材がベスト)
- アンダーウェア・レギンス
- スパッツ・ゲーター(砂除けにあると便利)
- 帽子
- 手袋
- ネックウォーマー
- 各種サポーター

ザックの持ち物
- 防寒ウェア
- レインウェア
- メディカル用品
- 地図・ガイドブック
- 飲料水(2~3Lの水分補給が必要です。但し、ゴミは捨てることができません)
- お弁当
- 携行食(栄養補助食、ドライフルーツ、チョコなど)
- 日焼け止め
- タオル
- ティッシュペーパー
- ゴミ袋
- 小銭(トイレ利用時に必要です)
- 簡易シート(座る時に有ると便利)
- 歯磨きガム(水は使えません)
- 下山後の着替え
- 携帯酸素ボンベ(自信が無い人は使うと一瞬楽になります)
- カイロ
- 時計
- スマホ


お気に入りのギアで、テンションを高めましょう!
あとがき

私達はツアーを利用して、吉田ルートから登山し、須走ルートで下山しました。
ツアー参加者から何人も脱落者が出ましたので、リタイア率50%も納得できます。
体力に自信があった私達も、高山病手前の頭痛と寒さと吐き気で声も出ません。
山小屋で家族4人分の弁当を配給されましたが、誰も食事が喉を通りません。
ゴミ箱が無いため、家族全員分の弁当とお茶が、止む無く私のザックに収まります。
なんとか家族全員が登頂でき、ご来光を拝めたことは本当にラッキーでした。

山頂から夜明け前の空。

ご来光を拝めました!
辛かったですが、来て良かったと思う瞬間です。

ちなみに、私は膝の関節を傷めてしまい、地獄の下山となりました。
でも、下山後のお風呂は、冷えて疲れた体を芯から温めてくれ、まるで楽園のよう。
まだ、富士登山の経験がない方は、いちど挑戦してみては如何でしょうか!?
私は、もう2度と登りませんが。。。
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